*Another-Future*
□掌
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「教官の手って大きくて男らしいですねー」
突然何を言い出すかと思いきや、目の前の恋人はまじまじと俺の手を見つめて居た。
「なんだ、いきなり」
「や、大した理由はないんですけど」
ただ単にデートの時に繋ぐ手が好きだから観察してみたんです、と照れながら郁は話した。
そんな郁にまたしても持っていかれそうになる。
「あたし教官の手、好きです」
「俺もお前の手、好きだぞ」
「、へ?」
間抜け面で問い返した郁ににやりと微笑んで、俺の手を弄っていた指をそっと口元に運んだ。
「戦闘職種の癖にお前、指は細くて綺麗だからな」
そう言ってちゅ、と口付ける。
郁は呆然とそれを眺めていたが、脳が状況の処理に追いつくとみるみるうちに真っ赤になって、教官の馬鹿!と逃げるように部屋を出ていった。
きっとその内戻ってくるだろう。
もし戻って来なければ迎えに行けば良い。
きっと簡単に見つけられるところで、俺がくるのを待ってるんだろう。
(…可愛いやつ、)