*Another-Future*
□お風呂
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「じゃ、エドワード。あたしお風呂入ってくるね」
「待ってるよ」
「すぐ戻るわ」
ベラが僕の鼻先に可愛らしいキスを落として部屋を出て行った。
正直な話、僕としてはなんだか物足りない気分。
でもまぁ、ベラが満足ならそれで良いんだよ。…多分ね。
さて、ベラは同世代の女の子の中でも、比較的入浴時間が短い。
それは僕への気遣いなのかも知れない。
あ…なんだか目頭がじんわりしてきた…。
…っと、それどころじゃなかった。
ベラがお風呂を済ませるまで、長く見積もってあと20分弱…といったところか。
あまり時間的に余裕はないので、早速行動に移させて頂くとしよう。
…おいおい、そんな目で僕を見るなよ。
いくら一世紀近く生きている僕だって健全な男子高校生。
しかも今はベラという愛しい彼女がいるんだ。
ベラの手前、僕はいかにも興味ないって顔してるけど、内心メチャクチャ闘ってるんだからな。
そりゃぁもう…目の前に獲物をぶら下げられている肉食獣みたいなノリで。
だから、衣装ダンスを覗いてしまう哀れな僕を理解ってくれ賜え!
ベラは自分を着飾るのを最も苦手としているから、持っている服も実用性を兼ね揃えたシンプルなデザインのものばかりだ。
…アリスがこれを見たら、きっと大騒ぎして嘆くんだろうな。
僕はぶっちゃけ見た目とかはどうでも良いから、ベラがどんな服着ていようが構わない。
ただ…何度も言うようだけど、僕も男だからね。
少々憧れたりはする。
ナース服やスッチーや着物や…
…って、そんなの学校にベラが着て来る訳もないけど。
それ以前に僕がさせない。
だってベラのそんな姿を、易々とあいつらに見せてやると思う?この僕が?
…有り得ないだろ。
と言うことで、僕の手は一段下の、所謂下着を収納するスペースへと伸びて行く。
…ちょぉっと待ったぁ!
だから、そんな目で僕を見るなよ!
これは至って健全な男子高校生の証だ。
何より僕が人間らしさを取り戻してるってことじゃないかい?
流石はベラ。
服と同様、下着も綺麗に畳まれて収まっていた。
そんなベラは、どうやら白を好んで着ているらしい。
種類も数も豊富とは言えない中、それらを占める色合いは白を基調としたもので、あとは薄い水色とか、もういかにもベラらしいことこの上ない。
そんなベラに安心する一方、黒とかも似合いそうだけどなぁ…と妄想に花を咲かせていた僕は、それに全く気付かなかったのだ。
「…エドワード?一応、何しているのは聞いてあげるけど…?」
静かな声が背後から聞こえて、僕は現実に引き戻された。
その声が含むものに、背筋が凍った気がした。
「…べ…ラ?」
恐る恐る肩越しに振り返る。
けれど恐くて視線は宙を泳いだまま、ベラに向けることは出来なかった。
「…忘れ物したから取りに来たのよ。そしたら、何を見つけたと思う?在ろうことか、彼女のタンスを漁って下着を握り締めている彼氏の姿よ!」
「べッ…ベラ!違うんだこれは…!」
「何が違うって言うのよ!え!?はっきり言ってご覧なさい!!」
「う…うわぁあぁっ…!」
その夜僕は結局ベラの家に泊まることはなかった。
当然の結果だね。
でもベラ…僕はこれくらいで諦めない。
次はもっと上手くやってみせるからね…。
***
貰い物。
エドワードも健全な男子だった。
はい、ばかー