*Another-Future*

□天然彼女は最強説!
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手を繋いだ

抱き合ったりもしたし

雑踏の中でキスもした

でも

それ以上はまだ怖いらしいから、厄介なんだ



◇   ◇   ◇   ◇   ◇



「…っん、」



頬を撫ぜる風が心地好いのは身体が熱いから。
気がつけば、焼き付くような太陽の陽射しはすっかり秋の和やかなものに姿を変えていた。
一夏限りのその命を主張していた蝉時雨の影でひっそり音楽を奏でて居た鈴虫も、この季節では主役だ。
久しぶりの公休にちょっと遠出をしてみた俺達は、その街でも評判の飲むのがメインな店を訪れた。
嗜む、というほど呑めない郁も、どうやら店の落ち着いた雰囲気と美味い食事に喜んでいたようで。
酔った熱を冷まそうとこうして公園のベンチに座って休んでいたというのに、失敗してしまったようだ。



「…ん、ふ…ぁ…」

「…郁、」

「…っ、…ん…」



やけに艶っぽい表情を魅せているのは酔いのせいか、はたまたキスのせいなのか。
涙で潤んだ瞳は正直毒だったが。



「…可愛いから許す、」

「…な、にが…ッん…」



熱くて柔らかい啌内は何度唇を重ねても興奮してしまう。
歯列を舌で辿り、奥で縮こまっている舌をつつくと、おずおずと絡めてくる。
飲み切れなかった2人の唾液が郁の口端からつ…と流れて行く。



「…ん、っく……」

「……ッは…、」



郁の顎を押さえていた手も我慢出来なくて、悪戯にゆっくりと服を辿っていった。
触れるか触れないかの微妙なタッチで。



「……ゃ、っぁ!」



そうして腹部に辿り着いたそれを服の中に滑り込ませた途端、郁の身体が面白いほど跳ねた。



「…郁、」

「…っ、教官!」



荒い息と鋭い(っていっても瞳は潤んでるからあまり迫力はないが)視線で俺に制止を投げ掛ける。
でもそれは嗜虐心を煽るだけと言うことを、郁は果たして知っているのだろうか。



「…これ以上は、駄目っ」

「…なんでだ、100文字以内で理由を述べろ」

「…ちょ!教官っ」



俺の腕の中できゃんきゃん文句を垂れる郁を抱き締めた腕は離さないまま、俺は続けた。



「…俺は、今すぐ郁が欲しい」



耳元でわざと低い声で囁くと、またしてもぴくりと如実に反応を示す郁。



「っで、でも、ここ外だしっ」

「じゃぁホテル帰るか」

「だ!…からっ、教官っ」

「…なんだ?」

「……、」



突然黙り込んでしまった郁の顔を見ようと覗き込むと、不安そうな表情がそこにあったもんだから俺は郁を苛めていた手をそっと離した。



「…すまん。調子に乗った」

「いえ、あたしが悪いんです。いつまでも怖がったりして…」

「初めてなら怖くて当然だ。悪いことなんかじゃない」



俯いた頭をよしよしと撫でてやると、郁が小さくでも、と呟いた。



「…教官なんだから…怖がる必要なんか、ないのに、」



その言葉は傾きかけた俺の理性を粉々にしてしまいそうだったが、なんとか郁への愛が勝って踏ん張ることができた。



「…お前な、あんま可愛いこと言ってると本当に襲うぞ」

「…っ、」



顔を真っ赤にして口をぱくぱくさせる、まるで金魚のような郁に小さく笑い、触れるだけのキスを贈る。
緊張に身体が縮こまる郁だったがだがしかしその指先はしっかりと俺の服の袖を握り締めている。余りの可愛さに目眩が、した。

郁の初めてを、その全てを奪える日がくるのは果たしていつになるのか。

俺の我慢大会は暫く続く。



















◆   ◆   ◆   ◆   ◆

貰い物。

堂上がんぼれぃ*
 

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