*Another-Future*

□誰も知らない、
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枕に散らばる自分の髪が判別出来るくらい辺りが明るいことで、郁は世界が朝を迎えたことを知った。耳を澄ませば窓の外から小鳥の囀りも聞こえている。
郁は手をついてのろのろと上半身を起こした。肩からはらりとシーツが落ちて、戦闘職種にしては丸みを帯びた象牙の肌が朝日に照らされ白く輝いている。

まどろむ意識のなか隣りを見れば、眠っている筈の堂上がそこにはなかった。
ぽすり、と音を立てて、郁は再び枕に頭を沈める。
寂しい、と思う自分がいた。

けれどそれと同時に、枕から香る匂いに安堵した。彼の、香り。普段から香水なんかつけない人なのに、いつも甘い匂いがするのは何故なのか。優しくて安心するその匂いに、まるで包まれているような錯覚すら覚えてしまう。

身体中を支配する気だるさと倦怠感、そして温もりと安らぎに、郁の意識は再び舟を漕ぎ始めた。

その時だった。

「…起きたのか」

突然寝室に響いたその声に、郁は驚きはしなかった。
それが誰なのかなんて、聞かなくても分かるから。
誰かと一緒に迎える朝なら、相手は1人しかいない。

「…寝てます」
「じゃあそれは寝言か」

ベッドが二人分の体重を受け止めて軋む。
ベッドの淵に腰を落ち着かせた人物は、背を向けている郁の髪を優しく撫ぜた。
その動きにつられて、俯せから仰向けに体勢を変えた郁の視界には、Tシャツとスウェットに髪の濡れた堂上が写った。

「シャワー浴びたの?」
「あぁ、お前も入るか?俺が入れてやるぞ」
「エロ親父」
「悪いか」

軽口を叩き合う、その間も堂上の郁の髪を撫でる動きは止まらなかった。
首にタオルを掛けているが、まだ水分が多く残る髪からはぽたぽたと滴が落ちる。
無造作に拭かれた髪は普段より長く見えて、それだけで印象が随分と違って見えた。

(あたししか知らない、篤さんだ…)

郁と話す時の優しい瞳とか、心配しながら抱き締めてくれる強い腕とか、夜のちょっと意地悪な声とか、快感に顰められる眉根とか。
全部全部、自分しか知らない、堂上の仕草。
そう思うと、なんだか無性に得意になった。

(あたししか、知らない…)

シーツをばさりと取り払い、郁は堂上の背中に抱き付いた。
顔を埋めて、甘い匂いを貪る。

「…襲うぞ」
「…いーですよ」

郁がそう答えるや否や、ベッドに押し倒され深く口付けられた。
熱い舌が絡まり合って、昨夜あんなに繋がった身体がまたじんわりと熱くなる。



無性に得意になった。
そしてまた、無性に愛されたくなった。

その優しい手で愛撫を落として、あたしにしか見せない顔をして。

そうしたらあたしは、あなたにしか見せない顔をするから。



次に郁が目覚めた時、隣りにはちゃんと、堂上がいた。















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貰い物。

危ない。

でもすきっ

 

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