シリーズもの&中編

□3
1ページ/1ページ




政宗にさよならを告げてから、私の世界は変わった。いや、変わってないのかもしれない。


あいつら、私と政宗のことをよく思わなかった女子、高橋華奈(たかはし かな)を中心とするグループからのいじめは無くならなかった。というか日に日に増している。親友の沙羅(さら)にさえ分からないような手口だ。
なんども沙羅に相談しようかと思ったけど、私のせいで沙羅まで酷いめにあってしまうんじゃないかと思うと相談なんてできなかった。





廊下を歩いてるとすれ違ったときに

「ブス。」

って言われたり

こっそり私の教科書やバックを隠したりととても陰湿なものだった。
それだけならまだ耐えられたけど、今は、




「うぅ、。」



体中が痛い。
視界がぼやけるのは涙のせい?


「さっさとくたばれよ。いい加減ウザイんだよ。」


高橋を精一杯睨みつける。

「な〜に〜?その目?お友達がどうなってもいいの?」

という言葉に何もいえない。

―――悔しい。

あんなやつの言うことを聞かないといけないということすら耐えられないのに、沙羅をネタに脅すなんて!


ドカッ
「きゃぁ!!」

思いっきり突き飛ばされる。
その勢いで壁に思い切りぶつかって倒れる。

「『きゃぁ!!』なんて可愛い子ぶってんじゃないわよ!」


髪をつかまれ顔を上げさせられる。


「綺麗な顔ですねぇ。杏ちゃん。また遊びましょうねぇ。」


パタパタとあいつらが去っていく音が聞こえる。


やっと終わった。


体中に走る痛みを必死にこらえて立ち上がる。


ふらふらと教室に行き荷物を取って帰ろうとすると

ガラっ

放課後で誰も戻ってくるはずのない教室に誰かが戻ってきた。


誰か確認しようと顔をあげたとき

「杏?」


声だけでわかっちゃうなんてね。

「政宗、、、。」


なんだか政宗の声を聞いただけで安心しちゃう。私は政宗をたくさん傷つけて傷つけてその上その手を振り払ってしまったはずなのに、何でかな?
胸が苦しいよ。


「杏、お前、何で泣いてんだ?」


―――泣いてる?


―――私、泣いてるの?


「な、泣いてないよ。」

政宗に余計な心配掛けたくなくて必死に強がる。もう、心配してくれるわけ無いのにね。





「だいじょう、、え?」




もう一度言い訳しようとした時だった。懐かしい香りに包まれたのは、、

「政宗?」


不安げに言う私に


「何も言わなくていい。」

とだけ言って優しく、だけどしっかりと力強く抱きしめてくれた。







何でかな?
私が振り払ったはずなのに、、、、
もう一度その手をつかみたい。
もう一度その心に包まれたい。
もう一度あの頃の幸せをつかみたい。

そう願ってしまう。思ってしまうの。


もう一度あなたの愛に包まれたい―――と。



ーーーーーーー
あとがき


今回はちょっと暗くなりましたね。
まぁ、このお話は常に切ない感じで進んでいきますが、、、、、
はっきり言うと前のお話からも分かるように政宗もヒロインちゃんも別れた今でもお互いのことを想ってます。でも、ヒロインちゃんはいじめ、政宗はヒロインちゃんに別れを告げられたことから友達止まりなのです。
だけど今回、政宗頑張りましたね。
これからちょっとずつ明るくしていってハッピーエンドにしたいですね。っていうかします!

ここまで読んでくださり有難うございました。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ