シリーズもの&中編

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「俺様ずっと杏ちゃんのこと好きだったんだけどな。」



突然降ってきた君の声。
唇には確かに佐助君の温もり。

「い、今。なん、て?」


驚いて心臓がドクンと跳ねて、目を見開いて。
それでもやっとの思いで僅かに唇を動かした。


「だからね。俺様さ、杏ちゃんのこと好きだったんだよ。」


佐助君が私のこと、、、、好き―――?


「嘘「じゃないよ。」


「嘘でしょ。」そう言おうとした私を遮って佐助君が真っ直ぐに私をその瞳に捕らえる。


「まだ政宗のこと好きなのは分かってる。でもさ、杏ちゃんが辛い時利用するとかでも良いんだ。俺様のこと少しは考えてくれないかな?」



切ないほど苦しい笑顔。
私が佐助君にこんな顔させてんのかな?

そう思うと胸がギュっと締め付けられたようだった。

佐助君は優しく笑って
「落ち着いたら気をつけて帰るんだよ。」
と去っていった。


私はとりあえず制服を着なおして教室に戻りバックを手にとる。

政宗のことが私はまだ好き。
それは揺らぎようのない事実なんだけど、だとしても私がこれ以上政宗のことを好きでいて何かあるのだろうか?この私の気持ちは政宗にとってはとても迷惑で煩わしいものなんじゃないのか?
私は、いったい。――どうしたらいいの?


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家に帰ってからもずっと考えてた。
するとベッドにおいてた携帯が光りだして。ディスプレイには「佐助君」



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あれからちゃんと帰れた?

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優しい内容のメール。
本当にこんな細やかなところまで気を使ってもらっちゃって。情けないな、私。
ちょっと自嘲気味な笑みを顔に貼り付けた。



ゴロンっとベッドに寝転がる。

私の気持ちは、今何処にあるんだろう?





政宗SIDE


それは自分の部屋で暇を潰してるときだった。

机の上に置いた携帯が光る。僅かながらに期待してしまう。そのディスプレイに光る名前が杏であることを。
でも、光る名前は「猿飛佐助」


ーーーーーーーー

俺様、今日杏ちゃんに告白した。
政宗がグズグズしてまた杏ちゃんを泣かすのなら俺様が杏ちゃんをもらう。

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なんなんだ?このメール。
杏に告った?
また泣いていた?


杏をもらう?



どうしてなんだろうな。
こんなメールが送られてくれば一人前に嫉妬をする。杏のことを散々泣かせて傷つけたはずの俺。本当のあいつの気持ちも理解しようとしてなかったのに。

この胸の奥から湧き上がる黒い気持ちを抑える術を俺は知らない。



「sit!!」


思い切りベッドに携帯を投げ捨てた。



どうして俺は大事な時にはこんなにも臆病で子供で。


こんなにも余裕がないんだろう?




ーーーーーーー
あとがき



佐助君やっちゃいましたー!
政宗に宣戦布告です。
この頃からヒロインちゃんは政宗への自分の気持ちは迷惑で煩わしいモノであると考え始めます。
そんなヒロインちゃんと宣戦布告で余裕のない政宗との恋は本当にすれちがいが多いですね。
いったい佐助君とのトライアングルはどんなふうに動くのでしょうか?


ここまで読んでくださった皆さん有難う御座いました。

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