短いお話

□俺だけ見てろよ
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政宗サイド


家に帰ってしばらくしてから

ピンポ〜ン♪

玄関のチャイムが鳴った。

誰だよって不機嫌ながらドアを開けるとそこには、一番愛しくて、一番会いたくなかった杏がいた。


「政宗。ちょっと話が「帰れ」!」


杏が言い終わる前に口をついてそんな言葉が出てしまった。

「でも・・・今日じゃないと・・・」

「帰れ・・」

「まさむ「帰れって言ってんだろ!」


思わず怒鳴ってしまった。ちょっと言い過ぎたかと思って顔をあげたら


「!!!」

杏が泣いていた。

「あッ。ごめんね政宗。泣いてないから。目にごみ入っただけだから。」

杏は大きな瞳から大粒の涙を流しながら
「これ・・・いらないかもだけど・・・・」
と言って俺に紙袋を渡して

「それだけだから・・・」
と泣きながら行ってしまった。
俺はしばらく動けなかった。

泣いてない、なんて嘘つくなよ。目にごみが入ってあんなに涙が出るわけねぇじゃねぇか。こんな時まで俺のことを気遣って俺に迷惑かけないように必死で唇をかみ締めて、

はっと我に帰りもらった紙袋を開ける。

パサっと一枚の紙が落ちる。
拾い上げてみるとそこには


「政宗。誕生日おめでとう。いつも私のこと大切にしてくれてありがとうね。ずっと大好きだよ。」






全部誤解だったんだ。
杏はきっと俺にこのプレゼントを買うために今日買い物に行ってて。何を買ったらいいのか分からなくて猿を頼ったのか。
それで・・・・・・・





「俺はッ――――」


俺は杏の後を追うように家を飛び出した。
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