短いお話

□甘い、甘い、甘い、
1ページ/2ページ









今日はバレンタイン。
バレンタインなんて俺様のためにあるようなものでしょ!
俺様甘いの好きだし。
チョコレート大歓迎ッ!!

でも、

欲しいのは

あの子のチョコだけ。










「佐助くぅ〜ん。チョコもらってぇ。」
「私のケーキも!!」
「私のは有名店のチョコ。」

朝から教室は大騒ぎ。何でかって?この俺様がいるからさ。

周りの女の子を適当に流しながらお目当てのあの子を探す。

えぇ〜とっとっと………







いた!!!!!




俺様の想い人、杏。

清楚な感じで本当に美少女。
大きくてクリっとした目にさらさらの黒髪はセミロング。細くて白い手足に薄くピンクの唇。


ホント、やばい。



誰にチョコあげるのかな?





俺様と杏ちゃんは委員会が一緒になって知り合った。見かけどおり可愛らしい感じで、ぜんぜん媚びない。そして話しやすい。かたいかも?って思ってたけど意外と気さくで明るくて活発な感じ。時折見せるあの笑顔に俺様の心は打ち抜かれちゃったってわけ。



袋を持ってるからきっと何か作ってきてると思うけど。






杏side

今日はバレンタイン。

私もチョコ作ってきました。
誰にあげるかって??

それは



佐助君、、、、、、、、です。


あぁ!!恥ずかしい!!



今日はバレンタインというイベントにのっかって佐助君に告白します。
でも、やっぱ恥ずかしい。




朝から教室は大騒ぎで思ったとおりに佐助君はみんなに囲まれてた。こんな中渡せるわけ無い。
放課後、、でも、大丈夫だよね。




その後も佐助君はたくさんの美人なお姉さん方においしそうなお菓子をもらっていた。


―――笑顔で。





違う人に、私じゃない人に笑顔で答える佐助君を見ると胸が痛い。彼女じゃないからこんなこと思っちゃダメなのに、、、。


佐助君を好きになったのは出会った瞬間。
爽やかな笑顔に惹かれた。お話してみるとそのままの爽やか人間で、それでいてすごく優しい。私にだけなんじゃないか?って勘違いしちゃうほど。ホントに私だけだったらいいな。







運命の放課後



いざ佐助君を探すけど、あれ?
教室にいない。
でも、荷物はあるのに。


佐助君を探すため、とりあえず教室を飛び出す。

しばらく探すと佐助君は見つかった。
でも、

女の子と一緒だ。



「好きです。私、ずっと好きだったんです。優しくしてくれた時とかすごく、、、、」

女の子のしゃべってる声が聞こえた。
告白だ。

『優しくしてくれた時』

あの子もそうなんだ。
やっぱり、、

誰にだってそうなんだね。
ほら、期待するから、、期待したりするから、、


「うぅ、、。」

泣いちゃうんだよ。


がたッ


「!!」


そばに立てかけてあったほうきを落としてしまった。


2人が一斉にこっちをみる。

どうしよう。



「杏ちゃ「ごめんなさい!!」


名前を呼ばれる前にその場から逃げるように走り出した。


あーあ。失敗しちゃったな。
こんなこと、するつもりなかったのに。


教室に戻ってバックを持って学校を飛び出した。





小さな公園に入って一人で泣いた。

「ふぇッ、ん。」

チョコレート

「無駄になっちゃったな。」

「無駄じゃない。」

「え!?」


前を見れば佐助君がいた。

「ど、して。」
びっくりしてうまくしゃべれない。
しっかりしろ!!私。佐助君に泣き顔なんて見せちゃダメ。


「無駄じゃないよ。そのチョコ。俺様がもらうんだから。」



佐助side

そういいながら杏ちゃんの持っている袋に手を伸ばすと、



「ダメ!!」


パッと手を払いのけられた。


「あ、違う、、の。これは、、」

しどろもどろになりながらしゃべりだす杏ちゃん。

「佐助君はもらっちゃダメだよ。だってあの子と付き合うんでしょ?」


「へ?」

何を言い出すかと思えば、、

「勘違いしすぎ。俺様はずっと杏ちゃんが好きで、好きで、好きだったの。だからチョコも杏ちゃんから貰わないと。」


そう言って、涙を流す杏ちゃんに優しくキスする。


杏ちゃんの持っているチョコを貰って杏ちゃんに食べさせる。


「はふけふん?ほれ、はふけふんのらよ?(佐助君?これ、佐助君のだよ?)」


不思議そうに首をかしげる杏ちゃん。
俺様はにやりと笑ってそのままキス。


顔を真っ赤にする杏ちゃん。


キスの味は

甘い、甘い、甘い、


チョコの味。



あとがき→
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ