頂き物
□溶ける
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エイリア戦が終わり、北海道に帰ってから早一週間がたった。
吹雪君はアツヤ君の事が解決した為か、前より楽しそうにサッカーをしている。
でも…
「ナマエちゃん?」
顔を上げると吹雪君が目の前に立っていた。
いつも身に付けていたマフラーはもうない。
『何でもないよ。それよりもういいの?練習は』
「うん、今日はいつもよりだいぶ冷えるし早く切り上げようって」
「帰ろう。」とにっこり笑いながら手を差し出す吹雪君に、私は手を伸ばす事が出来ない。
吹雪君が首を傾げて「どうしたの?」と訊いてきても答える事が出来なかった。
「…ナマエちゃん。」
『?』
「僕は大丈夫だよ。」
私に笑いかけながらそう言われ、驚く事しか出来なかった。
そんな私を見ながら続ける。
「あのね、確かにアツヤがいなくなってやっぱりまだ寂しいし悲しいんだ。
でもね、嬉しかったりもするんだ。今、ううん、ずっと前から僕は一人じゃない皆がいる、ナマエちゃんがいる。
その事に気づいたのはアツヤのおかげでもあると思うから。」
だからナマエちゃん。
心、溶かす
そんな悲しい顔しないで。
僕が変われたのは、
君のおかげでもあるんだから…
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