捧げ物

□人の気も知らないで
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「大人しく捕まれェェェ!」

「待てって言ってんだろ!?」

放課後のサッカー部部室。

今日は雨で練習が中止になったので、みんなでトランプをしていたわけなのだが…

俺はナマエに追いかけられている。

「だから待て!いつそんな話したんだよ」

「いつもなにも、ちゃんと始めるときに言ったじゃん」

さっき、ババヌキで俺は負けた。

その罰ゲームとして…

「霧野、大人しく捕まれよ」

「神童、お前、見てないで助けろ!」

「もうポニーテールにされた方が楽だと思うぞ」

「ふざけんな!」

最後にジョーカーを持っていた奴が一抜けした奴の言うことをきくなんて、俺は聞いてない。

「そう言えば霧野、ちょうどナマエが罰ゲーム提案した後に部室にきたんじゃ…」

「…倉間、それ本当か」

…部室に入ったときのナマエの黒い笑顔はこういうわけだったんだな。

俺が聞いてなかったのを良いことに…!

「ってことで、この罰ゲームは無効……ぐっ」

無効の提案をするのに振り向けば、すぐ後ろにナマエがいて、抱きしめられた。

「お、おい…!?」

「捕まえた!!」

…やっぱりそういうことか。

ちょっとでも期待した俺がバカだった。

…でも、理由は甘くないにしろ、やっぱり俺は動揺するわけで。

みっともないが、ナマエの腕の中ではされるがままだった。



人の気も知らないで

「ポニーテール完成!…ヤバい、惚れそう」

「…頼むから今の俺には惚れないでくれ」




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みかん様へ捧げます!

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