季節ネタ

□南沢
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「オイ」


「…は?」




AM8:05、雷門中校門前。
いつも通り…いや、若干いつもとは違う登校風景。

女子は、男子にどうチョコを渡そうかと悩み、
男子はそんな女子を見てソワソワする。
…そう、バレンタインデーだ。

まあ、私は本命も甘い感じとかじゃなく普通に渡す予定だから特に変わらずいつも通りなんだけど。

…それなのに。

私にとってはいつも通りの登校風景が、あの一言で180度変わった。

…何故、こいつはこんなところで待ち伏せしているのだろうか。
まさかこんなとこで会うなんて思っていなくて、思わず素っ頓狂な声がでる。



「…南沢、そこで何してんの」

「お前のチョコを待ってたんだよ」



まさかな、なんて思って訊いてみれば、予想通りの答えが返ってくる。
…いや、予想はしてたけどやっぱりこう改めて言われると痛い。痛すぎる。

まあ自分から渡す手間は省けたしいいかな、とプラスに考えてみる。
しかし、南沢だったら私から貰わなくても他の女子からいっぱい貰えるんじゃないだろうか。

そんな風に複雑な気持ちでいると、南沢に腕を引かれた。



「え?」

「ちょっとこっち来い」


そう、連れ込まれたのは校門横の植え込み。
はあ?と訊きつつ着いていけば、ホラ、と手を差し出された。



「…ハイ」



…バレンタインって何だっけ。
そう疑問を抱きつつも鞄の中から、去年よりもラッピングにこだわったチョコを出せば、南沢も違いに気がついたようで「お」と呟いた。



「去年よりも凝ってんだな」

「本命だからね」

「…は?」



別に隠すこともないかな、なんて思って、サラッと言っちゃえば、南沢はいつもの生活では見られないような、ぽかんとした表情をしていた。



「…いや、確かにくれって図々しく来たけどよ。そこまで雰囲気出さなくても大丈夫だぜ?だってコレ、どうせ義…」

「本命だっつってんでしょ」


悪かった、なんて逃げようとした南沢に言わせねえよ的な勢いで突っ込めば、南沢が一気に頬を染めた。



「…だから、去年よりも頑張ったんだってば」


だから、受け取ってよ。
そう指差しながら言えば、「あ、ああ」なんて頷かれる。



「えっと、まあ、そういうことだから」



いつもと違う、少しシャイな南沢だと流石に気まずくなって、そうこの場を去ろうとすれば待て、と再び腕を掴まれた。



「俺も、ナマエのこと、好きだぜ」

「…知ってる」



振り向きながら見ると、いつもの薄笑いに戻っていて、これ以上ないんじゃないか、ってくらいの甘い声で言われたため、お返し、というように答えればバーカ、と言われた。


















聖バレンタインデー


南沢の甘さと私のビターさで、きっとプラマイ0だと思う。





















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図々しい南沢→シャイな南沢→萌え!
を狙ってたんです実は。
…と、とりあえず土下座です!←

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