イナイレ

□この続きは
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「雨だね〜…」

「そうですね…」

今日の天気は雨。

グランドが使えないから、選手達は自分の部屋で自主トレをしている。

全体の練習がないと、私たちマネージャーもやることは少ないから、多少はゆっくりできる。

そして、ちょうど今はみんな仕事がないから食堂でお茶をしているところだ。

「そういえば、ナマエ先輩って好きな人とかいないんですか?」

「ぶっ」

春奈ちゃんのいきなりの話題に、思わず飲んでいたお茶を噴き出す。

「あ、ナマエちゃん汚い!」

「いや、今のはしょうがないよ…」

秋ちゃんに叱られたけど、そうだ、今のは私に非はないはず。

「で、いるんですか!?」

食い下がらない春奈ちゃん。

「私も気になるなぁ」

「え、秋ちゃんも!?」

秋ちゃんまで参加するとなると、やはり辛いものがあって…

好きな人は、いる。

でも、教えるの恥ずかしいしなぁ、なんてどうしようか迷ってると、春奈ちゃんは「じゃあ、好きな人当ててみせます!」なんていいだしちゃって。

それなら、ずっと表情や声色を変えなきゃいいだけだから、やり過ごせると思って再びお茶を口にしたんだけど…

「基山さん!」

「ぶっ」

…本日2回目、お茶の噴き出し。

「え、ヒ、ヒロト!?」

まさか一発目で当たるとは思っていなくて、わかりやすく動揺してしまった。

「そっかぁ、やっぱり基山さんですかぁ」「やっぱりだね」なんて、2人に納得される。

「いや、ちょっと待って、誰もヒロトとは言ってないって」

「何が俺じゃないって?」

「……え?ヒロト…?」

驚いて後ろを振り返ってみると、扉の所にはヒロトが立っていた。

お約束な状況に頭を抱えながらなんで此処にいるのと問えば、喉が乾いたから飲み物を取りに来たと。

「で、何が俺じゃないの?」

「なんでもないって」

「俺のことなんだから聞く権利はあるよ」

どうしよう、と2人の方を向けば、頑張っての意をこめてウィンクされる。

「いや、ホントに大したことじゃないから…あ、ハイ、ドリンク」

これでおとなしく帰ってくれれば…とドリンクを差し出したのだが、甘かった。

「ありがとう。で、大したことじゃないなら言えるよね?」

いつものあの笑顔も、今はとてつもなく腹黒く見える。

言えないけど言わなければ帰ってくれないだろうヒロトから視線をそらし考えていると…

「えっ…」

頬を固定されて、ヒロトと目を合わせざるを得ない状況になってしまった。

「ナマエ」

「は、はいっ」

「俺がなんでこんな聞きたがるかわかる?」

「わかりません」

「俺がナマエのこと好きだから、俺がいないところで俺の名前が出てたとなると期待しちゃうわけ」

「はい…って、え?」

ヒロトの言葉に、頭がついていかない。

「ってことで、返事は?」

でも、こんなチャンス、逃すわけにはいかないから。

「わ、私も…」



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「ごめん、やっぱり恥ずかしくて此処じゃ言えない」

そう言って後ろを振り向くと、春奈ちゃんはしてやったりな、秋ちゃんは苦笑いな顔をしていた。


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