イナイレ
□空白の30分
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「暇だなぁ」
1人の教室で、呟く。
今日は担任の先生と面談があるんだけど、その時間までまだかなりある。
暇つぶし道具も、生憎今日は持ってきていない。
遠くで野球部とかサッカー部の声が聞こえるけど、誰の声かなんてわかんくて。
頑張っている声をBGMに、まだたっぷり残っている面談までの時間をどうしようかと考えていると、『ガタン』と、ベランダの方で物音がした。
「え?!」
1人で狼狽えるのも、何故か気がひける。
でも、かと言って物音の正体を確かめる勇気なんてのもない。
「……」
どうしよう、先生呼んでこようかな、と迷っていると、勢いよく後ろのドアが開いた。
「おわっ」
「ナマエ?」
そこに立っていたのは、風丸くんだった。
いけない、素っ頓狂な声が出ちゃった。
なんて考えてたら、風丸くんに何やってるんだ?と訊かれて。
「面談今日だから、それまで教室で待ってようと思って」
「まだだったのか。…てか、さっきの声面白かったな」
「そ、それは言わないで…」
自分でも気にしてたんだから。
そう言うと、風丸くんはふっと笑って
「でも、面談まで時間、結構あるだろ?」
と言いながら、ベランダの方に向かって行った。
「だから暇つぶしを考え…、て、風丸くん!!ベランダ…!」
「え?ベランダ?…あ、あぁ、さっき、ボール蹴りすぎてとんじゃったんだ。それ取りにきた」
「…え?」
じゃあさっきの物音は、サッカーボールの音…?
あぁ、だから…と1人で納得してると、ボールを持った風丸くんがベランダから出てきて、私の隣の席に座った。
「……風丸くん?」
「面談まで、一緒に居てやるよ」
空白の30分
「そういえば…サッカーとか、興味ないか?」
そう言われて、サッカーについて聞いていたら、あっという間に30分は過ぎてしまい、面談開始ピッタリ5分前に来た先生が驚いた表情で私達のことを見ていた。