イナイレ
□夕焼けの中で
1ページ/1ページ
「何見てんだ?」
「夕日」
浜辺に腰を下ろして夕日を眺めているナマエを見つけ、サーフボードを担いだまま話しかけた。
「ここから見る夕日は最高だよな」
そう言いながら、俺も隣に腰を下ろす。
「うん」
夕日から目をそらさずそう答えるナマエの横顔が、俺の知っているそれより綺麗に見えて。
不覚にも、きゅんときた。
…何考えてんだ、俺…
そんなことを考えていると、ナマエが俺の方を向いた。
「っ」
「なんでそんなびっくりしてんの」
「…悪い」
「あはは…」
しかし、ナマエはそれだけ言うとまた夕日の方を向いた。
「…どうしたんだよ?」
「んー…夕日を見るとさ、心を洗われるっていうか、なんか嫌なことがあっても忘れられるじゃん」
「ああ」
夕日に視線を向けたまま言うナマエの方を向き、相槌をうつ。
「でさ、他にも、こんな感じのあったな、って思って」
「他にも?…海とかか?」
そう訊けば、まあそれもそうだけど…と返される。
なんだよ、という目で見れば、ナマエは困ったような顔で笑った。
「綱海がサーフィンやってる姿ってすごい楽しそうだから、それ見てると嫌なこととか消えちゃうんだよね」
夕焼けの中で
柄にもなく俺の顔が熱いのは、夕日のせいだと信じたい。