イナイレ
□たとえ儚い愛でも
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―…
蝉の声が私たちの鼓膜を揺らす。
でも、蝉と言ってもつくつく法師だ。
空を見上げれば、もう夏空ではなく秋空に変わっている。
「ねえ、ナマエ……に………たい」
「え?何言ってるか聞こえない」
ヒロトが喋るも、あまり大きな声ではなかったため蝉の声にかき消される。
「だから、俺は蝉になりたい」
「なんで?」
さっきより大きな声で言ってくれるも、その言葉の真意がわからず理由を尋ねる。
「蝉って、メスを呼ぶために鳴いてるんでしょ。…ああやって愛を叫ぶの、いいと思うんだ」
「ふーん…」
愛を叫ぶ、か。
でも、蝉は地上での命は短い。
それを言えば、ヒロトはうーん、と唸り、
「たしかにそうだね。でもその分、一匹のメスだけに惜しみない愛情を注ぐんじゃないかな」
と、少し考えこんだ後、遠くを見ながら言った。
「人間ってさ、愛を軽く言い過ぎてると思うんだ」
「…」
「でも、それをわきまえた上で、俺はナマエに愛を伝えたい。何回も言うのは軽く思われちゃうかもしれないけど、…陳腐な言い方だけど、気持ちが溢れてくるんだ」
「ヒロト…」
ヒロトの方を見れば目が合い、優しく微笑んでくれた。
「愛してるよ、ナマエ」
「私も」
たとえ儚い愛でも
私も、あなたに愛を捧ぐ
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よくわからないヒロトを書こうとしたら自滅しました(・ω・`)←