イナイレ

□絆を創る
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―――。






響き渡る、いくつもの音。
音楽の授業で、みんな各々に自分の好きな音を奏でる。

そんな中、私は楽譜に階名を書いていた。

音楽が苦手というわけではないけれど、階名を書かなきゃ弾くことができないというのが私の弱点だ。


「書き終わったか?」


隣に座る一郎太が私の手元を覗き込んでくる。


「あと少し………終わった!」


面倒くさい作業が終わり、ふー、と伸びをする。


「音符ってさ、頭でわかっても瞬時に階名に書けないよね」

「そうか?」

「そうだよ。なんでなんだろ?脳から手に指令がいくのを何かが邪魔してんのかな」

「どんな発想だよ…」


そんなことを話していたら一郎太がおい、シャーペン!とちょっと慌てたように言ったので机の上を見てみると、さっき伸びをするために机の上に置いたシャーペンが転がっていた。


「おっと…」


シャーペンの落下地点と思われる場所に手をスタンバイする。

…音楽室の机の傾きって、楽譜見るためとは言え結構面倒なこと多いよなあ。

そんなことを考えていると、机から落ちたシャーペンが水平からグリップの方を下に向きを変えて落ちて…向きを変えて!?


「痛っ…!!」


落ちてくるシャーペンによって私の手がどういう影響を受けるかを認識する前に、シャーペンの先が手のひらに刺さった。


「お前のソレ、振りシャーなんだから落ちるときは先が下になるのわかるだろ…」


呆れたように言いつつも、大丈夫か?と心配してくれた。


「いや、痛い…あー、血出てきた!絆創膏教室だよ…」

「ったく……あ、あった。ちょっと手貸してみろ」

「ポッケから絆創膏…!」


学ランのポケットから絆創膏を取り出した一郎太を私より女子度高いじゃん、なんてからかってみれば、うるさいと怒られる。


「手のひらだから剥がれやすいかもしれないけど、ないよりはマシだろ?」


そう言って、刺さったところに貼ってくれる。
サッカーでよく傷を作るからか、それはよく慣れた手つきだった。


そして、

「ホラ、できた。次から気をつけろよ?」

と笑った。






絆を創る

「ところで、なんで絆創膏キティちゃんなの?一郎太は男の娘超えて娘だったの?」

「バカ、母さんの趣味だ!」


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