イナイレ

□どんな理由であれ
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※十年後
























―ピンポーン



午後10時半、独りの家に響くインターフォン。
パソコンの前の定位置から立ち上がり、玄関に向かう。
こんな時間に訪ねてくるのはアイツくらいしかいないと思いつつも、一応ドアスコープを覗いてからチェーンを外しドアを開ける。



「やあ」

「来るときは連絡頂戴って」



呑気に笑った彼…ヒロトに前も言ったでしょ?と言えばヒロトは


「ちゃんと用心してるかの確認をしてるんだよ」


と肩をすくめてみせた。


「まったく…はい」


心配してくれている、ということに嬉しさを感じつつ、それを誤魔化すために呆れたように笑ってドアを大きく開けてあげれば、お邪魔します、と言って上がった。


「で、どうしたの?」


初秋とは言え、夜になれば外はもう肌寒い。
温かいココアを作って持っていけば、気なんて使わないでいいの、と言われる。


「でもありがとう。……大した用事じゃあないんだけどね、」


そう言いながら、ヒロトは持ってきた紙袋から小さなケース…メガネケースを取り出した。


「じゃん!」


そして、メガネをかけてどう?似合う?ときいてきた。


「アレ、ヒロト目悪かったっけ?」


「最近、ちょっと小さい文字が見にくくなってね」


おじさんみたい、と言えば


「うるさい。…で、似合う?」


と再び訊かれる。


「…なんていうか…」


「なに?」


「えっと…言わなきゃ駄目?」


「当たり前じゃん。ナマエに一番に見せたくて、こうして仕事帰りにメガネ取りに行ってそのまま来たんだから」


ね?と首を傾げられるけど、その顔は自信に満ちている。
…コイツ、自分に似合ってるってわかってきいてきてるんだ。


「…似合ってる、よ」


「え?聞こえない」


こういうときのヒロトは意地が悪い。
聞こえてるに決まってる。


「似 合 っ て る !」


恥を忍んでさっきよりも大きな声で言えば、勢いよく抱きつかれた。


「ちょ、ヒロト!?」


「いいじゃん、俺達しかいないんだし」


そうじゃなくて!と離れようとするも、さらに強い力で抱きしめられる。


「くすぐったいよ」


首筋に顔をうずめヒロトの頭を小さくおせば、名残惜しそうに離れた。


「ナマエに似合うって言ってもらいたかったんだ」


「急にどうしたの」


「みんな、大人っぽくなっちゃったからさ。…あ、円堂くんは変わらないけど」


ふふ、と笑って、だから俺も見た目を大人っぽくしたくてさ、と言った。


「単純だな、ヒロトは」


そう言えば、さっきのようにうるさい、と言って笑った。









どんな理由であれ


「眼鏡でも、ヒロトはヒロトだよ」

「でも、惚れ直したでしょ」

「……うん」









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すみません、十年後のヒロトに抱きつかれたかっただけですorz←

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