イナイレ

□この涙が落ちるとき
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「おい、聞いてるか?」




気がつくと、目の前に心配そうに私の顔を覗き込む条介の顔があった。


学校の帰り道。
ちょっといろいろあって、ナーバスになっていた今日。
でも辛気臭いのなんて私には似合わないから、いつも通り振る舞おうと頑張ってた。
ずっとそうだったから、少し気が抜けてボーっとしてしまったのかもしれない。
条介の話が全く耳に入っていなかった。



「ごめん!何の話だったっけ?」



お決まりのセリフ。
誤魔化すようにあはは、と笑えば、条介が怪訝そうな顔をした。



「お前、なんかあっただろ?今日いつもと違うぞ?」



「え…」



「無理に笑ってんだろ。俺だって、それくらいちゃんと見てるぜ」



なんだ、条介にはお見通しだったのか。
そう思ったら、今までどこか力んでいたのがなくなった気がした。



「バレてたか」




開き直ったような感じで言えば、条介はったりめえだ!とちょっと怒ったように言った。



「なんていうかよ…何か相談されても、俺は海の広さと比べて元気づけようとするからアレだけど…でも、ナマエがそういう顔してんの見るの、嫌なんだよ」



「条介…」



「だからよ、話さなくてもいいから、俺の前では泣きたいときには我慢すんな!」



そう言って、条介は私の髪をくしゃっと撫でた。
すると、今まで内に溜め込んでたものが涙となって溢れてきた。



「じょ、すけの、ばかぁ…」



こんなときだけ優しくしないでよ、と途切れ途切れに言えば、



「いつも優しくしてんだろ?」



とちょっと不満そうに言いながら、抱きしめてくれた。




「俺だって、少しは力になりてえんだ。…だからよ、」









この涙が落ちるとき

「その涙くらい、拭わせろよ」

























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