イナイレ
□この涙が落ちるとき
1ページ/1ページ
「おい、聞いてるか?」
気がつくと、目の前に心配そうに私の顔を覗き込む条介の顔があった。
学校の帰り道。
ちょっといろいろあって、ナーバスになっていた今日。
でも辛気臭いのなんて私には似合わないから、いつも通り振る舞おうと頑張ってた。
ずっとそうだったから、少し気が抜けてボーっとしてしまったのかもしれない。
条介の話が全く耳に入っていなかった。
「ごめん!何の話だったっけ?」
お決まりのセリフ。
誤魔化すようにあはは、と笑えば、条介が怪訝そうな顔をした。
「お前、なんかあっただろ?今日いつもと違うぞ?」
「え…」
「無理に笑ってんだろ。俺だって、それくらいちゃんと見てるぜ」
なんだ、条介にはお見通しだったのか。
そう思ったら、今までどこか力んでいたのがなくなった気がした。
「バレてたか」
開き直ったような感じで言えば、条介はったりめえだ!とちょっと怒ったように言った。
「なんていうかよ…何か相談されても、俺は海の広さと比べて元気づけようとするからアレだけど…でも、ナマエがそういう顔してんの見るの、嫌なんだよ」
「条介…」
「だからよ、話さなくてもいいから、俺の前では泣きたいときには我慢すんな!」
そう言って、条介は私の髪をくしゃっと撫でた。
すると、今まで内に溜め込んでたものが涙となって溢れてきた。
「じょ、すけの、ばかぁ…」
こんなときだけ優しくしないでよ、と途切れ途切れに言えば、
「いつも優しくしてんだろ?」
とちょっと不満そうに言いながら、抱きしめてくれた。
「俺だって、少しは力になりてえんだ。…だからよ、」
この涙が落ちるとき
「その涙くらい、拭わせろよ」
------------------------------------>
何がしたかったんだ自分!←