イナイレ

□また明日からも
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「んじゃ、よろしくなー」

「はーい」


頼んだぞ、と教室から出て行く担任の先生。
運悪く金曜日に日直になってしまったため、今週のまとめみたいなものまで書かないといけないのである。


「…運悪いよなあ…」


なんでよりによって金曜日に日直あたっちゃったんだよ。
そんなことを考えながら、日誌の上にシャーペンを滑らす。
本来なら隣の席である子と一緒にやるべきなのだが、部活が大会前だとかでそれは申し訳ないから自分ひとりでやることにしたのだ。






「ハイ、次パスいくよ!」


外から元気な声が聞こえて来る。
あの声は音村だろうか。
ボールを蹴る音と共に掛け声がする。

サッカー部もみんな気合入ってるな。

そんな風に関心しながら日誌を書いていれば、後ろですごい物音がした。


「えっ!?」


驚いて振り返ってみれば、床にサッカーボールが転がっている。
窓のほうを見れば、全開になっているためどうやら誰かが蹴り損じてここまで飛んできたらしい。


「しょうがないなあ」


一人で呟きながらベランダに出て、音村ー!と大きな声を出す。
すると、ボールが入る一部始終を音村も見ていたようで悪い!と返される。


「ボールどうするー?」

「そこから投げてくれ!」


コレ、とボールを前に出せば、音村の隣にいた綱海が答えるが、音村に待て、と制止される。


「綱海、ナマエのひどさを知らないだろ。コイツのボールの方向音痴は尋常じゃない」

「何だよ失礼な」


そう反抗するも、本当のことのためあまり強くは言い返すことができない。
すると、綱海が「じゃあ俺が取りに行くから待ってろ!」と走り出した。


じゃあ綱海が来るまでに日誌を終わらせてしまおう、と思い机に座って続きを書き始めれば、3分もしないうちに後ろのドアが勢いよく開いた。


「悪い!ちょっと調子乗ったらすんげー上がっちまってよ…」

「はは、綱海らしいね」


次からは気をつけないとな、と笑う綱海にちょっと呆れながら返せば、「そういやナマエは何やってたんだ?お前、今日部活ないだろ?」と尋ねられる。


「ああ、日誌だよ。隣は大会前で大変らしいから、私が代わりに」

「へえ〜…大変だな。手伝ってやろうか?」


さも当たり前のように言う綱海。
でも、綱海も部活があるのだから手伝わせるわけにはいかない。


「いいよいいよ、後少しだし」


ほら、と見せれば、そっか、とあっさりと食い下がってくれた。


「ごめ…」「でもよ、」


方向音痴なばっかりにとりに来てもらっちゃってごめん、と言おうとすれば、綱海と言葉がかぶる。


「悪い、先言えよ」

「いや、こちらこそ。綱海からいいって」


全然大したことじゃないから、と言えば、綱海がじゃあ、と先を口にした。


「でもよ、ナマエっていつも頑張ってる…つか、みんなに気つかってるよな」

「え、そうかな?」


関心したように言った綱海に聞き返せば、うんうん、と大きく頷かれる。


「今日だってそうだし、いつもいろいろ細かいこととかやってんだろ?俺知ってるんだぜ?」


どことなく得意気に言う綱海。
ちょっと嬉しく思いながらなんか照れ臭いな、と呟けば、綱海の大きな手が私の頭を撫でた。


「え、ちょっ」


いきなりのことであたふたすれば、綱海がアハハ、と笑う。


「いつもご苦労さん、ってな!俺からのご褒美だ」

「ハァ?」


嬉しいけど、どんな反応をしたらいいんだかわからずに、つい可愛くない反応をしてしまう。
これだから私は…と少し後悔していたら、窓から綱海ー!早く戻って来い!という音村の叫び声が聞こえてきた。


「あ、じゃあ俺もうそろそろ行くな」

「うん。わざわざ来てもらっちゃってごめんね」


さっき言えなかったことを伝えれば、気にすんなって、と言われる。
じゃあな!と出て行った綱海を見送り、先ほどとは打って変わったほのぼのした気持ちで日誌の続きに取り掛かった。

















また明日からも

誰かに頭を撫でられたのなんてすごい久しぶりで、また明日からも頑張ろう、って思えた。



















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新春綱海祭り終了\(^o^)/
長かった。楽しかったけど地味にネタ探し大変だった←

胸キュンシチュ=撫で撫で
とか思って書いたらこんなんになりました。

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