イナGO

□結局はバカップル
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「拓人の馬鹿!」

「は?急にどうし…」

「惚けないでよ!」

サッカー部部室。
俺らのキャプテンとマネージャーは、人目もはばからず部室の真ん中で喧嘩を始めた。

「始まりましたね」

「ほっとけ」

倉間と速水はいつものことだしな、とあまり興味を示していないみたいだが、浜野と南沢さんは

「今日は何が原因なんだ?」

と若干楽しそうにしている。

そんな俺たちには目もくれず、二人の喧嘩は続いてく。

「私より可愛い子に告白されやがって!」

「はぁ!?」

ナマエが怒っている理由に思わず声が出るけど、本人達には聞こえてないようだ。
というか、ナマエ半泣きじゃないか。

「あれはちゃんと断った。あいつよりナマエのが全然可愛い。…それにそれを言えば、ナマエだってこの前バスケ部の奴に告白されてただろ…!あいつ、『神童なんかより俺と』とか言ってたけど…どうなんだ?」

今度は神童が泣きそうだ。

「断ったわよ!断ったからこうして今も拓人と付き合ってるんじゃない」

「大体、お前は誰にでも優しいからああいう奴が寄ってくるんだ…」

「それ言ったら拓人だって試合かっこよ
くゲームメイクしてるから、いろんな女の子が寄ってきちゃって…」



「あいつら、さり気なくお互いのこと褒めてるよな」

倉間の呟きに一同が頷く。

「ちゅーかさ、あれって喧嘩なの?」

「ただのバカップルだ」

「つか、もうそろそろウザくなってきた。霧野、止めてこいよ」

「南沢さん、無茶振りやめてください」

いや、でも止められるのお前しかいないだろ、と言われれば、黙るしかない。
確かに倉間は逆に2人をいじめそうだし、浜野はノリで喧嘩をヒートアップさせかねない。
速水に至っては、気の弱さで止めることなんて無理だろう。

なんで俺が、と思いながら2人の方を見れば、神童がナマエにキスをしていた。

「俺にはお前しかいないから。…信じろよ」

「私も、拓人しかいない」



「霧野、訂正だ。あいつら一回殴って来い」

「了解です、南沢さん」




結局はバカップル

なんか俺たちの方が疲れたんだけど。

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