イナGO

□重症?
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「ダルい」

「大丈夫かよ」

マスクをしたナマエに声をかければ、わかんない…という返事が返ってきた。

「ったく、風邪気味のときは早めに寝ろってあんなに言ったのによ…」

3日くらい前にナマエが「風邪ひいたかも」なんて言っていたから、散々注意しておいたのに。
全く、俺がどれだけ心配してるのかわかっているのかコイツは。
そんなことを思っていると、だって…とナマエが口を開いた。

「どうしても続きの気になる漫画あったんだもん」

「…喧嘩売ってんのか?」

自分の体調<漫画ってわけか。
ナマエらしいといえばそうかもしれないが、やはり自分の体調は自分で管理してほしい。

「…保健室行くか?」

行くなら連れてってやるぞ、と言えばううん、と首を横に振る。

「でも、そんな状態で授業受けるのも辛いだろ」

机に突っ伏していれば当然先生から注意されるし、理由を言えば間違いなく保健室か帰宅コースだろう。
しかし、ナマエは嫌だ、の一点張りだ。

「なんで嫌なんだよ」

保健室はそんな嫌われるような場所ではないはずだ。
理由を聞けば、ナマエはえっと…と言葉を濁した。

「理由がないならお姫様抱っこで連れてくからな」

「ある!ちゃんと理由あります!」

あまりにも即答だったため、そんなにお姫様抱っこが嫌かと聞けば当たり前じゃん、恥ずかしい、と返ってきた。

「何なんだよ」

話を元に戻せば、ナマエは困ったような表情で話し始めた。

「……南沢がそばに居た方が、安心するんだもん。保健室行ったら、南沢は教室に戻っちゃうでしょ?」



その瞬間、後頭部を殴られたような衝撃が俺を襲った気がした。






重症?

俺のほうが重症になった気がする。











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多分最近スランプだ。
きっとそうに違いない。←

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