イナGO
□It's up to you.
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「さあ、どっちがいい?」
そう、隣にいる恋人に問いかければ、ナマエは困ったように笑った。
「どっちがいいって…どっちも嫌なんだけど」
「んなハッキリ言われると流石に傷つくんだけど」
冷たい風が吹く、夕暮れの帰り道。
寒い、と漏らした名前に、俺は2つの提案をした。
”俺のマフラーを2人で巻く”もしくは、”腕を組んでくっつく”だ。
まあどっちもくっつくという点では共通していて、下心があるのは否めない。
しかし、付き合ってるのだから別に問題はないだろうと思うのだが、名前は恥ずかしがってどっちの選択にも首を縦に振らないのだ。
「寒いんだろ?遠慮すんなよ」
「いや、大丈夫だって。私体丈夫だし」
手を繋ごうと近づけば、近づいた分だけ距離をとられる。
「まったく…心配してやってんだろ」
これからクリスマスとかお正月とかいろんなイベントがあるのに体調崩したりしたら元も子もないだろ?と説得すれば、ナマエがしゅんとした表情になった。
「心配してくれるのは嬉しいけどさあ…えっと…うん」
ナマエがこうして言葉を濁すときは、もう一押しで折れるというサインだということを、俺は知っていた。
さあ、あともう一息、と思い、隙を見て近づき耳元で囁く。
「選ばなかったら此処でキスすんぞ」
「路チューはマジ勘弁」
顔をしかめて本気で嫌そうな顔をするナマエにじゃあ、どっちか選べ、と言えば、かなり迷っているようでああ、もうっ!と頭を抱えた。
It's up to you.
まあどっちを選ぼうが俺得だから、ナマエに任せるぜ。