イナGO

□It's out of question.
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「はあ…」


放課後、部活前の部室。
やっと来たから話しかけようとすれば、荷物を置いたナマエは物憂げな表情で溜め息をついた。

朝、学校に一緒に来たときはいつも通り普通だったから、それから何かあったのだろうか?
普段、明るい表情しか見せないナマエだから、余計心配になる。

いつもと違う表情に戸惑い、踏み出そうとした足を引っ込めれば、浜野が俺の視線の先のナマエに気がついたのか、俺の方へよってきた。


「浜野…アイツ、今日何かあったのか?」


浜野はナマエと同じクラスのため、何か知っているのではないかと思い尋ねてみれば、ちょっとね…と困ったように笑った。


「…クラスの、神童のファンでナマエちゃんのことあんま良く思ってない女子達が本人に聞こえるように嫌味言っててさ…」

「は?…どういうことだ?」


嫌味?何を?
よくわからなくて聞き返せば、ナマエには聞こえてないか、というのを確認してから浜野が口を開いた。







詳しく聞いてみれば、俺とナマエが付き合ってることに対してのただの僻みだということ。
そんなくだらないことを言う奴らにも腹が立つが今はナマエを励ますのが先決だと思い、浜野にお礼を言ってナマエに近づけば、ナマエも俺に気がついて「ああ、神童」と少し微笑んだ。


「ちょっといいか?」

「え?」


こっち、と手招きをすれば、ちょっと迷うように視線を漂わせた後、俺のそばへ来た。

ここ、と近くにあった椅子を引けば、素直にそこに座る。


「…」

「…」


とりあえず呼んだのはいいが、なんて言葉をかけたらいいかわからずに黙っていれば、ナマエがねえ、と話しかけてきた。


「…神童は、なんで私でいいの?」

「え?」

「私は…お嬢様でもなければ、勉強も運動もずば抜けてない」


そう言うナマエの表情は今までにみたことがない表情で、一瞬ドキッとしたけど、動揺してる場合ではない。



「優しさと可愛さは一番だろ?」

「そんなベタな」


思ったことを正直に言えば、即座に返される。


「お前なあ…。…じゃあ、何でナマエは俺でいいんだ?」


まさかこう切り捨てられるとは思ってなくて再びドキッとするけど、すかさずそう聞けば、ナマエは少し迷ったような顔をして、口を開いた。


「優しくて、サッカーだけじゃなく私のことも考えてくれて…そんな簡単にはいえないよ」

「俺も、それと同じだよ」


困ったように答えたナマエにそう返せば、え?という顔をされる。


「俺も、そんな簡単にはナマエが好きだってこと、表現できない。でも、好きだって気持ちは確かなものなんだ」



そう言って優しくナマエを抱きしめれば、ナマエの肩が少しビクッとなったけど、構わずに腕に力を込めた。










It's out of question.


「だから、誰が何と言おうと、そんなことで悩むなんて問題外だろ?」














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切甘ってなんだっけ。
やっぱり私に切甘なんてもの難しすぎるわ…!!←

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