イナGO
□どうしよう隠しきれない
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※元カノ設定
「悪い、タオル取ってくれ」
「はーい」
俺の声に、ベンチのナマエがタオルを投げてくれる。
「ありがとう」
「いいえー」
…笑顔で俺の御礼に答えるナマエに、少し胸がずきんとする。
「…なあ、」「ナマエー!」
思わず引き止めようとしてしまったが、瀬戸に名前を呼ばれたことによりナマエの注意は俺から瀬戸へと移った。
「…神童」
少し残念だな、なんて思いながら汗を拭っていれば、霧野が俺の名前を呼んだ。
「何だ?」
「お前、やっぱりまだ好きなんだろ?」
「…きり、」
「お前が一番よくわかってるはずだ」
「………」
霧野の言葉に返す言葉が見つからず、開いた口を閉じる。
―でも、仕方がないんだ。
俺が望んでる関係と、あいつが望んでる関係は…
そこまで考えて、俺は首を横に振った。
「いや、いいんだよ、もう」
「神童?」
笑いながらそう言えば、霧野は少し不思議そうに首を傾げた。
「おい、二人ともそろそろ練習に戻れ!」
「あ、ハイ!」
三国さんの呼びかけで俺たちは部活中だったことを思い出し、練習に戻ろうとした。
…が。
「神童!」
ベンチから発せられた、…大好きな、あの人の声。
「なん、だ?」
霧野とあんな話をしていたあとだからか、若干声が裏返ってしまった気がするが、ナマエはそんなこと気にしない様子で続けた。
「さっき、何か言いかけてなかった?」
「…ああ、何でもない。大丈夫だ」
…瀬戸に遮られてたアレ、聞こえてたのか。
わざわざ聞き返してくれたことに嬉しく思いながらもやはり心の中は複雑で。
「じゃ、戻るな」
「うん、頑張れー!」
ナマエの声を背にグランドに戻る、俯きかけた俺の顔を見て、霧野が肩を叩いてくれた。
どうしよう隠しきれない
未練で涙が溢れるなんて。
まだお前のことが好きって言っても、お前はこうして仲良くしてくれるのか?
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※タイトル…「確かに恋だった」様よりお借りいたしました。
切甘!のつもり!←
ううーん…やっぱり自分の状態が夢小説にもあらわれますよね(遠い目)
久しぶりの更新がこんなので申し訳ないです!
精進してきます!