D・W U

□Episode.60
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出会いは、ただの偶然。
けれど…、それは必然。


















なあ、アリス。
未だにはっきりと思い出せないんだ。


オレ達は、本当に、あの三日月の夜、
魔界の森の偶然が…始まりだったのか?


もっと前に、違う場所で、必然の出逢いが
始まりだったんじゃないのか?






…今となってはもう、確かめる術すら、無いのだけど。








だって、君はもう…─────




















    この世には、居ないのだから。





























       カシャン……ッ








ボロボロの身体、血塗れた足元、鎖に繋がれた手足……。










自由を奪われた。
家族を奪われた。
世界を奪われた。

キミを奪われた。






死を与えられた。
紅を与えられた。
業を与えられた。

罪を与えられた。










       カシャン……ッ








思い出せたのに…
やっと、大切な君を、君の笑顔を…



けれど、なんて、残酷なんだろう。

自分は、捕えられて、身動きも取れずに、じっと待っている。



もう、背負いすぎた。



────遅かった。
君に気づくのが。血に抗うのが。










もう戻りたくても、戻れない。


君の居た時間にも、何も知らずに、背負わずに、笑っていられた昔の自分にも。








憎いんだ、どうしようもなく。



母さんを殺した、あの男が。
同じ血を持った、アイツが。
君の存在しない、この世が。

血に逆らえない、自分にも。










君に会いたい。
名前を呼んで。


私も呼ぶから、君の名前を。


















    ねえ、キミの名前は なに?
















伏せた瞳から、紅が溢れた。










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