D・W U
□Episode.60
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サァァァ………
森の木々から木の葉が舞い散り、風に乗る。
落ちることなく、風に揺られ、空高く舞い上がる。
それは石段を上がり、古びても尚、赤く色づく鳥居を軽やかに抜けていく。
サァァ カサ……
その一枚の木の葉は、鳥居を抜け、鳥居と同じく古びた神社の中。
とある者の手元にある狐の面の傍らで、静かに動きを止めた。
カチ コチ カチ コチ
社内にある、これまた古びた掛け時計の針が、静かな場で音を際立たせる。
────ほら、はやくー!
────まってよぉ!
────あははっ
何処からか、風に乗って聴こえる、幼い声たち。
社内に居たその人物は、狐面の隣に置く手の指を、ぴくりと反応させた。
「いっち、にのっ、さん…っと」
掛け声に合わせて、石段を上りきった幼い少年は、達成感溢れる顔で、汗を拭う。
「置いてかないでよーっ」
「あ、ごめんごめーん!」
「よし、ついた!」
次に少女の声が響くと、少年は悪気無さそうに謝り、同時に眼鏡を掛けた少年が駆け足で鳥居を潜る。
「あ、ふいうちだぞー!」
「ぼくがいちばーんっ」
「ふたりとも、はやいよー」
漸く上りきった少女を余所に、言い合う少年たち。
しかし少女が境内に入り、辺りを見回した事で言い争いは中止となった。
「あれぇ、いなーい!」
「キツネさーん!」
「あっそびにきったぜー!」
各々に呼び掛ける三人の幼子。
辺りを絶やさず見渡すが、目的の存在は現れないらしい。
どうしたものかと悩む三人。
「────はぁ…」
その一部始終を見ていた人物は、深くため息を吐き出すと、足元に転がるお面を拾い上げた。
「どうする?」
「いないのかなぁ?」
「かくれてるんじゃね!?」
よし、探しに行こう!と士気を上げた三人だが、ある声によりそれは、始まることなく終わりを迎えた。
「────またキミ等か。」
うんざりとした声色で言う、狐面を付けた人物。
しかし、反対に少年たちは表情を輝かせた。
「「「キツネさん!!」」」
「うるさいな。なに?」
無邪気な声たちを感情なく切り捨てる人物だが、子供達は気にすることなく、目的を話す。
「またお話ししてよ!」
やんちゃな少年が頼めば、はあ?と不機嫌な気だるそうに放たれる声。
しかし繰返し、何度もお願いお願いと、まとわりつかれ 仕方なしに狐面の人物は口を開いた。
「そうだな…じゃあ、
光となった少女の話をしようか」
わざとらしくも悩んだ素振りをし、三人に尋ねると二つ返事で返ってくる。
「それじゃあ、お話の始まりだ」
────to be continued..
さらさらと風が吹く。
木の葉が揺れる、ゆらゆらと。
そして────影すらも。
***2012.09.30***
これにて第一章終幕です。
これで最終回だと思いましたでしょうが
残念ながら、第一章≠フ終幕です。
同時に記憶編≠烽アの回にておしまい。
お分かりの通り、記憶編とは、アリスの記憶に関わる話でしたー。
今回の話は冬夜視点より行われました。
合間に冬夜の過去を覗かせる描写がありましたが、後々の話で詳しく書く予定。
出来れば、主要人物の過去話なども。
それにしても、驚きですね。
60話突破しましたよ!奇跡きたね!((
この調子で進めていけると良いのですが。
あ、はい。頑張りますとも。
と、まあ…最後のページの話は
二章のプロローグ的な感じに仕上がってます。
伏線はってた存在、出たね。出ましたね。
こんな感じで、あるのかどうかも曖昧な伏線を拾っていきます(笑)
それでは次回より、新章スタート!
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