D・W

□Episode.02
1ページ/3ページ











    ────キミを迎えに来たんだよ























    Episode.02
    【少女と『白兎』】






















    「ど…いうこと…?

     私を、迎えに来た…?」







突然の言葉に、亜璃朱は訳がわからないと
困惑して、声を震わせながら問う。


亜璃朱はこの二人の前に立っているだけで
何故か不安≠ニ懐かしさ≠ニいう
前者はあり得るのに、後者の気持ちに
戸惑いが募っていたのだ。









    「うん♪ キミを迎えに」






    「、訳が分からない。


     あなた達は何がしたいの?」







亜璃朱は静かに、深く被ったフードの
間から見える蒼色の眼をもつ少年を
真っ直ぐに見つめた。








    「んー…。

     ただ、僕たちは約束≠フ為に
     来たんだよ。ここ≠ノね♪




     ……僕はね、アリスを僕たちの
    世界≠ヨと導く…“白兎”」






少し悩む仕草をみせてからニッコリと
口元に笑みを浮かべた少年。






     「約束? 白兎?


      何が言いたいのか
      全く解らない…」






    「ふふっ、説明は後だよ♪



     ……それにしてもー…
     夜も何か説明してよー!

     さっきから僕しか話てないよ」






蒼い瞳の少年は、壁に背を預けていた
隣にいる仲間と思える人物に目を向けると
軽く怒ったように声を掛ける。







    「……お前が勝手に一人で
     喋ってるからだろ?」





その人物は小さく少年に返事を返す。






    「(一体、何しに来たんだろう)」







亜璃朱は軽く言い合いになっている二人の
人物達を見て、
呆然とその様子を見据える。



もう一人の人物も蒼い瞳をもつ少年同様
フードを深く被っているため
顔は見えないが、時折に見える左目の
眼帯が亜璃朱は気になっていた。


眼帯をつけた“夜”と呼ばれる人物は
少年の言う通り、この教室に現れてから
一言も話してはいない。


すべて、蒼眼の少年が一方的に
話をしていただけ。

話こそはしていなかったが
亜璃朱は先程から、見定める様な視線を
眼帯の人物からしていたのを感じていた。








    「…アリス。
     悪いが君に拒否権はない。


     オレ達と一緒に来てもらう」






ある程度の言い合いは終わったのか
“夜”は亜璃朱に向き直ると、
そう淡々と告げた。


その二人が纏う空気と視線は
真剣そのもの。



その二人を見て亜璃朱は









     「お断りします。」





無表情で断固拒否した。


その言葉に蒼眼の少年と眼帯の人物は
予想外だったのか、キョトンと呆ける。






   「まず第一に、
    貴方たちの事を知らないのと

    そんな怪しい話に乗っかれるほど
    私は、人を信用してないの」






亜璃朱は、にっこりと微笑って
先程の焦り顔が無かったかのように
あっさりと答えたのだ。







    「……ふ、ははっ
    相変わらず*ハ白いね♪


     でも『拒否権はない』って
     言ったよね、アリス?

     何が何でも来てもらうよっ!」







ニッと口元に笑みを深く浮かべて
少年は得意気に言い放つ。








    ────それにね、知ってるよ。

    アリスが…、僕たち≠
    知らない事ぐらい。


    でもね、僕たち≠ヘ
    アリスを…、知ってるんだよ?








少年は小さく、小さく呟くと
哀しそうな笑みを浮かべた。







      「え────?」






    「…そ・れ・にー♪



     アリスが来ないとこの人たち…
     ずーっと眠ったままだよ?」







亜璃朱はその少年の表情と、微かに
聞こえた呟きに酷く心が痛んだ。


だが、少年は亜璃朱の言葉を妨げて
先程の話を続けた。










     「────なっ!?」


















_
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ