D・W
□Episode.04
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「なぁなぁ〜。
アリス 目、覚めたんだって?」
明るい男の声が部屋に響く。そして部屋に
灯る小さな灯りがその人物の姿を…、
燃えるような赤い髪を照らす。
「……ああ。今は自室にいる」
その問いに一番灯りの近くに座る夜は
赤髪の青年の声に、
不機嫌な低い声で返事を返した。
「………大丈夫、なの…?」
小さな灯りはその可愛いらしい
少女の声の主までには届かないが、
その人物の小さな影を濃く照らした。
「 大丈夫だよ 」
少女の小さな声に夜は、先程の赤髪の青年に
答えた声とはうって変わった優しい声で
伝え、微笑った。
「アリスには明日、お前達
二人を紹介するつもりだから」
「へいへ〜い。
明日が楽しみだな〜♪」
夜の言葉に軽く返事を返す赤髪の青年。
そして、その青年の意味深な笑みが部屋の
小さな灯りに浮かぶ。
*
━━━━ボフッ
「……あったかい」
亜璃朱は柔らかいベッドで寝ころび、
小さく息をつく。
────『イタズラが
大好きな妖精さん』
(どうして。……偶然?)
亜璃朱は、先程の意味深な笑みを
思い浮かべ、ある言葉を言い放った夜を
思い出して静かに目を伏せた。
チャリ…
「夢見花……」
服のポケットから出して見つめるのは、
“夢見花”という、自分の物でありながら
名も知らなかった花の首飾り。
夜に聞いた花の名を、
亜璃朱は静かに紡いだ。
「<夢見花>
『終らぬ夢』の始まり…」
亜璃朱は一切、聞いていない言葉を
無意識に呟いていた。
そして、静かに瞼を閉じ眠りにつく。
自身の首に掛かる、大切な花の首飾りは
月明かりの微かな光に輝いていた。
────『おいで、アリス。』
────『なぁにー?』
────『アリスにコレをあげる』
────『わぁ、お花だー!』
────『この首飾りは“御守り”よ
この御守りはアリスを
護ってくれるから…。大切にね?』
────『うんっ ありがとー!』
そう言っていた貴女は、
とても哀しそうな顔をしていて。
この頃の私は、そんな事
気づきもしなかった。
どうして哀しそうな顔をするの…?
哀しそうな顔をしているって
わかっているのに…
どうして、貴女の顔が
今の私に見えないの……?
あなたは………だれ?
────to be continued...
さて…────、
少女はとうとう暗い森に
迷い込んでしまった…。
あの悪魔たちを疑いもせずに。
まだ本当の物語は始まらない…
何故なら、まだ
出逢っていないから……。
あと二人…、
あと…、ふたり────…。
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