D・W
□Episode.04
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────『ここは、どこ…?』
何処かも知れない場所で二重に響く声。
何もない、漆黒の闇に亜璃朱は、独り。
Episode.04
【闇の空間と光の声】
『 っ…… 』
何も見えない
聞こえない。
誰も…いない。
そんな闇の中で、言い知れぬ不安と
寂しさが一斉に押し寄せてくる。
独りぼっちだった過去の闇を
思い出させるように……。
『やだ…っ!だれか…っ!!』
亜璃朱は踞りながら、必死に助けを
求めて声を出す。
少しすると一瞬だが、光るものが見え
それに気付き、亜璃朱は立ち上がる。
『────…光?』
そして周りを見渡してみるが、どんなに
見渡しても在るのは、やはり真っ暗に
塗りつぶされたような闇だけ。
だが、亜璃朱は諦めず、祈るように
それ≠ェ見えた方向に眼を向けるが、
何度やってみても在るのは、光一つなく
寂しい世界だけだ。
その事に愕然として、自然と涙が
虚しくも頬に伝う。
『────アリ…ス……』
『!! 誰…!?』
茫然と立ち尽くす亜璃朱の耳に
小さな声が聞こえてくる。
亜璃朱は驚きながらも、その声に嬉しさが
込み上げる思いで声がする方を向く。
そこには先程の一瞬だけ見えた光と同じ
小さくも眩しい光が亜璃朱を
呼んでいるかのように照らしている。
『…っ (眩しい…)』
それは次第に大きくなり亜璃朱は
眩しさに眼を細めてしまう。
『───アリス』
『(何でだろ…。 この声、
すごく安心する…)』
亜璃朱は声がする方に、眩しさに眼を
細めながらも歩み寄っていく。
すると、突然強い突風が亜璃朱に押し寄せ
その突風に流されるように亜璃朱の意識は
そこで途切れた。
「───…ス、アリスッ!」
途切れ途切れに聞こえてくる声は
段々はっきりと、亜璃朱の耳に大きく
聞こえてくる。
自分を呼び続ける声に、亜璃朱は
瞼を震わせ、ゆっくりと眼を開けた。
「ん…、 っ?」
目を開けると見知らぬ天井。
それに疑問符を浮かべ、ベットであろう
柔らかい場所から、体を起こそうとするが
体が重くて起き上がれないため
そのまま視界に入っている周りを見渡す。
「大丈夫? アリス
ここは僕たちの“家”だよ♪」
左からの声に顔を向けると、そこには
真っ白な髪に澄んだ蒼い瞳の少年が
優しく亜璃朱に微笑んでいた。
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