D・W

□Episode.07
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    「……ああ。よく、判ったな。


     ────どうして此所に?」






金髪を揺らす夜は、椅子に座ったまま
静かに答え、尋ねた。





     「音、が聴こえて…。


      ……その髪の色、」





亜璃朱は夜の姿に、途中で
不自然にも言葉を詰まらせてしまう。



そんな様子に気がついた夜は、目を伏せ
ああ、と声を漏らす。






     「生まれつきなんだ。

      三日月の日は、
      髪が金色に変わる……」






そう言い、月明かりを拒む様に
フードを深く被る夜。




そして左目に軽く手をあて、その手に
グッと力を入れた。それに気づく亜璃朱。





     「目、どうかしたの?」





     「…いや、何でもない」






夜は、棚の上に置いてあった眼帯を
手に取り、手早く付けた。


そして立ち尽くしたままであった
亜璃朱へと、歩みを進める。






     「ここは、夜の部屋?」






亜璃朱は興味あり気に部屋を見回す。


改めて見てみると、この部屋は少し
埃っぽく、大きな窓と、ある程度の
家具の棚に、ソファ、椅子などだけで
部屋には大切な筈のベットもない。


ここは、自室に使ってるとは
思えるものではなかった。





    「一応は、な。
     あまり使ってないが…」





夜自身も改めて自室を眺め
「埃っぽいな」や「掃除しないと」などと
苦笑混じりに呟いている。



そんな中、亜璃朱は夜の髪を見て
物思いに耽っていた。






    ─────金色の髪…。

     夢で見たあの子≠フ髪も…






       ズキンッ



     「────っ!!」








     「!? アリス…!」







そこまで考えていると、突然頭に
鋭い痛みが走り、思わず頭を抱えて
膝を床に落とす亜璃朱。


そんな亜璃朱に当然驚き、夜が反射的に
支えたため、亜璃朱は体勢を
崩すことはなかった。






     「────……?」





     「大丈夫か…?」






気づくと、鋭い痛みは一瞬で消えていた。
それに疑問符を浮かべる亜璃朱と
そんな亜璃朱を心配する夜。






     「大丈夫。…ごめんね」






笑って言う亜璃朱に「そうか…」と
夜は安心したように呟く。






    「……夜って、いつも
     フード被ってるね。


     どうして…────?」






ふと亜璃朱は夜の被っている黒いフードを
見つめ、何となく訊いてみた。





    「ああ…、これか?


     …“光”が苦手だから
     少しでも遮るために被ってる」






    「紫外線防止みたいなの?」






問いに答えた後に、発っせられた亜璃朱の
言葉を聞いた途端 思わぬ発言に
驚いた夜は少し固まる。





    「紫外線防止…。

     ふ…ははっ、そうだな」




         「?」





夜は小さく呟くと、ツボに入ったのか
少しながらも笑みを溢す。


真剣に言った言葉に、何故夜が笑ったのか
よく分からず、亜璃朱は疑問符を
浮かべたが、初めて夜のここまで笑った
顔を見て、亜璃朱も夜につられ
無意識に笑っていた。














    「それじゃ、部屋に戻るね」







夜に「埃っぽいし、部屋に戻りな」と
促され、戻ろうと亜璃朱は踵を返す。




     「────あ。アリス」




が、夜に呼び止められる。



亜璃朱は、前にもこんな事あったな、と
思考を巡らして、振り返った。






     「明日、面白い事あるから」






右半分の体と頭を壁に預け、妖しげな
笑みを浮かべる夜。





     「(面白い事?)…うん?」





夜の笑みを見て、良い予感ではないのは
確かだと、少し冷や汗を流す亜璃朱。








    「ん、それだけ。…おやすみ」






      「!…おやすみっ」








綺麗な笑みで返され、思わず亜璃朱は
その場に固まるが、直ぐに気を取り直し
早足で部屋を出ていった。















   ─────明日は久しぶりに…
    楽しい“祭り”になりそうだな?















不敵な笑みを零し、心の中で呟く。
























     ────to be continued...





















     貪欲な悪魔の楽しい
    戯び≠竍祭≠ニは

     一体 どんなものか……
     少女は知ることになる。




     それは、あまりにも
     まだ世界を知らない少女には

     残酷な…、悪魔にとっては
     ただの戯れ─────。





     さぁさぁ、本当のハジマリは
     これからなのかもしれないよ?




































*あとがき*


金髪の闇猫さんでしたー。

何故、いつもは黒髪なのに
金髪バージョンがあるのか。

これには勿論、理由が
あるのでございます(笑)

それは、随分と後に明かされます。



ここまで読んでいただき
有難うございました!!(`∀´*)
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