D・W

□Episode.12
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微かに表情には驚愕の色を見せたが
それは、ほんの数秒で。
夜は小さく微笑した。



「……へぇ…。」


真輝斗の火を纏った刀を見て
興味ありげに声を零した夜。



「…オマエは何者だ?

 顔くらい見せたらどうだ
 ……腰抜けが。」


最後の方はボソッと呟いた真輝斗に
夜は目を少しだけ丸くすると…、


「…フ、ククッ…。“腰抜け”か…

 そんなモンで顔を
 隠してるんじゃないが…。

 元々、“光”は好まないんだ
 それが月の光でも…な。」



そう喉の奥で笑うと、夜はパサっと
フードを自分の手で取った。

夜は左目を自身の能で凍らし
その氷で覆っていたため、瞳の色は
わからない。


そして夜の素顔に、瑞穂と真輝斗は
驚訝の表情を表す。



「姿は知ってるものとは異なるが…、

 その氷を操る能、『闇猫』か!」


瑞穂が叫ぶ。


「そうか。白兎に狼、そして闇猫…
 まだ一体足りないが、お前ら

 闇に堕ちた魔族…、『ヴェルバード』か」


 「……ご名答。」


瑞穂と真輝斗の言葉に
妖しく笑い、夜は二人を見下ろす。



「楽しませてもらったぜ?
 …滅魔使の皆さん」


そう言うと、氷の壁から滅魔使とは
反対の方に降りて、瑞穂と同じく
巻き込まれたと思われていた
白と颯が下に居た事に目を見開く瑞穂たち。

夜は岩の影に隠れていた亜璃朱や黒たちも
連れて夜は呪文を呟いた。

すると此処に来たとき同様
魔方陣が現れた。


その魔方陣と共に強く吹いた風に
亜璃朱が被っていたフードが取れる。



「…!!! 亜璃朱さん!!!」


今まで、亜璃朱は此処に居ないと思って
いたため、亜璃朱の姿を見つけると
瑞穂は氷の壁を素手で叩き叫ぶ。
だがそれは分厚い氷の壁に遮られていて
亜璃朱に届かず、本人は気づかない。

そして最後に夜は
滅魔使たちの方に振り返り、
その向こうにいる朝陽を見て言う…




「じゃあな…。…兄さん?」


皮肉そうな表情で不敵に笑うと
誰にも聞こえないくらいな
小さな声で呟いた。

だが、とても遠い距離に居るというのに
朝陽は夜の口の動きを見て、気づいたのか
目を見開いた。





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