D・W

□Episode.14
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  【───とある屋敷】





「……メンドくせぇ…。

 本当に此処に居んのか…?
 “悪魔”は。」


広い屋敷の階段から響く
面倒そうな若い少年のような男の声。



「ええ…その筈ですが、
 もう三日も経ちましたね…」


その男の次に響くのは澄んだ女の声。


この二つの声は、ここの主人の男を
悪魔からの護衛のために三日前から
この場に滞在している、
滅魔使の真輝斗と梓だった。


は屋敷の階段で真輝斗は腰を下ろしており
梓はその場で立ったまま、報告書のような
手帳に何かを記していた。




「三日も経ちゃ、居ないんじゃね…
『バンッ!!』…?」


はぁーと重く溜め息をはく真輝斗の
声は、何かを叩いた音によって消えた。



『つまり、何が言いたいんだ!!?
 この私が、嘘をはくわけないだろう!!

 早く私の屋敷に憑いた“悪魔”とやらを
 追い出してくれないか!!!」


階段を上がった奥にある一つの扉の
奥から、怒りに狂った低い男の声が
扉を閉めきっているというのに
部屋の中だけでなく、部屋の外や
周りにまで響いていた。
そして今の音は机を叩いた音だろうと
真輝斗と梓は推測する。




『ですから、悪魔がこの屋敷に居る
“誰か”に化けている可能性があるので、
 調べさせていただきたいだけです』



淡々と冷静に奥からする声は
静かながらにもハッキリと
その場に響いていた。


その声の主は真輝斗と梓と同じく
滅魔使の瑞穂だ。






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