D・W

□Episode.14
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 「ふぁー…、…眠い…。」



小さく欠伸をしながら、廊下を進み
皆が居るであろう部屋へ向かう亜璃朱。






  ガチャ…


  「おはよー」


亜璃朱は扉を開けて
皆の姿を確認して挨拶をする。








  Episode.14
  【死の神が降す断罪】










 「お、アリス。はよ〜」


 「おはよー♪」


亜璃朱が入ってきたのを見て
挨拶を返すのは颯と白だ。



「お早う、アリスちゃん。

 昨日は寝れた?
 遅くまで起きてたけれど…」


「おはようございます、マリアさん

 あー…、少し眠いです…」



少し心配の色を含んだマリアの声に
苦笑気味に答える。

マリアが心配するのも

昨晩は、皆で騒ぎあっていたため
寝る時間は、当然遅かった。

それが、夜行性なマリア達は平気でも
人間である亜璃朱には尚更だ。




そして亜璃朱は、自分が来る前に
少ししか見えなかったが、皆が見ていた
場所を覗くように見た。

そこには、魔方陣の上に立つ夜がいた。



 「あ、おはよ。夜、黒」


今まで、颯やマリアに被っていた所為で
二人の存在に気づいていなかった
亜璃朱だが、二人の姿を見つけると
笑顔で、颯や白同様の挨拶の言葉を言う。




 「ああ、おはよ」

 「…おはよう、…アリス。」



夜は微笑して小さく返し、
黒はいつも通り無表情で静かに返した。



 「何してたの?」


陣の上に立って、と亜璃朱は付け足す。



 「人間界にちょっとな…」


 「え、一人で?」


その言葉に、亜璃朱は不思議そうに
夜を見て小首を傾げる。




「もう一人ついてく事になってるんだぁ

 それで今、誰がついて行くか
 決めようとしてたとこ♪」



白はソファーの端に腰をかけ
亜璃朱に簡単に説明をした。



「…で、さっきも言ったけど
 俺はダルいからパスな〜」


そして颯天は、面倒くさそうに
ソファーへ寝転んでいた。



「それじゃあ、僕かクロだねー♪」


 「そうだな」



  ━━━ガタッ…


白と夜が話していると、黒が座っていた
椅子から立ち上がる。

それに自然と、皆の視線が黒に集まった。



「…夜。今夜は“三日月”…?」

 「ん? ああ」


黒は、相変わらずの無表情で夜に訊く。
夜は黒が訊いてきた事の意味に
心の中で納得すると静かに答えた。



 「…わたしが行く。いい?シロ」


 「…いいよ♪気をつけてね」



白は笑って言った言葉に
小さく頷いて応える黒。

そして夜と魔方陣の上に立った。



「今頃、人間界は、夜の筈だから
 丁度いいわよ」


「そうか…。アリスを頼むな」


マリアはにっこりと微笑み頷いた。
颯は見送りもせず、すでにソファの上で
寝ていた。

亜璃朱は静かに二人を見て


「…気をつけてね?
(何か…、嫌な予感がする)」



亜璃朱は心の中で冷や汗を流して
祈るように二人に問うように言う。



  「ああ」 「…うん。」

  「「行ってきます」」



そう言うと、二人はその場から消えた。




 「……行ってらっしゃい」




亜璃朱は先程まで二人が居た場所を
見つめ小さく呟いた。






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