D・W U

□Episode.41
2ページ/4ページ









    「早く戻ろうぜ〜?


     誰かのせいで無駄な能使って
     腹減ってんだからさ〜」






嫌味を含んだ声色で愚痴を零す颯。


颯より数歩後ろを歩く夜は、そんな嫌味を
気にする素振りもなく
ただ華麗に無視し続ける。










    「────あ。

     そーいや、
     忘れるとこだったな〜」







      「……何がだ?」






不意に零された声に、前を見ずに居た夜は
視線を、空を仰ぐ颯へと向けた。






    「……ん。コレって
     オマエんだろ〜?」






颯の振り向き様に渡されたのは、
光に反射して僅かに輝く……鈴。


それは紛れもなく、夜の…母の形見。







     「……これを、」





何処へ…?

この言葉は、最後まで紡がれることなく
途切れてしまう。言い切る前に割り込む
颯の言葉によって。






   「オマエがアイツと
    対峙してたとこに落ちてたぜ?


    それ、華夜サンから
    貰ったモンだろ〜」



    粗末にするなよな〜





冗談混じりに笑う颯が言葉にした
華夜(カヤ)という名前。


夜は、颯の表情を見るでもなく
ただ掌の上で、微かに音を立てながら
転がる、鈴だけを見続けていた。







    「貰った≠じゃない。

    預かった≠セけだ……」








ぎゅ…っ、と鈴を握り締め華夜を、
母親を思い 重々しく瞼を下ろす。


















_
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ