D・W U
□Episode.41
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「早く戻ろうぜ〜?
誰かのせいで無駄な能使って
腹減ってんだからさ〜」
嫌味を含んだ声色で愚痴を零す颯。
颯より数歩後ろを歩く夜は、そんな嫌味を
気にする素振りもなく
ただ華麗に無視し続ける。
「────あ。
そーいや、
忘れるとこだったな〜」
「……何がだ?」
不意に零された声に、前を見ずに居た夜は
視線を、空を仰ぐ颯へと向けた。
「……ん。コレって
オマエんだろ〜?」
颯の振り向き様に渡されたのは、
光に反射して僅かに輝く……鈴。
それは紛れもなく、夜の…母の形見。
「……これを、」
何処へ…?
この言葉は、最後まで紡がれることなく
途切れてしまう。言い切る前に割り込む
颯の言葉によって。
「オマエがアイツと
対峙してたとこに落ちてたぜ?
それ、華夜サンから
貰ったモンだろ〜」
粗末にするなよな〜
冗談混じりに笑う颯が言葉にした
華夜(カヤ)という名前。
夜は、颯の表情を見るでもなく
ただ掌の上で、微かに音を立てながら
転がる、鈴だけを見続けていた。
「貰った≠じゃない。
預かった≠セけだ……」
ぎゅ…っ、と鈴を握り締め華夜を、
母親を思い 重々しく瞼を下ろす。
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