D・W U
□Episode.43
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「『近づかないで』…ねー。
そんな事言われちゃってもなぁ」
流し目に黒を見て、無表情に言葉を零す。
「……。
…アリス、大丈夫…?」
無言で青年を見据え、直ぐには
攻撃してこないと見て判り、黒は亜璃朱の
様子を確認する。
「大丈夫…。 黒、その人は」
「オレに勝ったらね?」
亜璃朱が青年の事を、黒に説明しようと
口を開いたが、青年は
言わせないため わざとそれを妨げた。
「 ……? 」
そんな事を知る由もない黒は
無表情で疑問符を浮かべている。
「オレに勝ったら
そのお嬢さんには近づかないよ」
勝てたら≠フ話だけど…
不敵に微笑んだ青年を見た黒の頬に
一筋 冷や汗が流れていく。
「……約束、ね。」
「ああ♪ 何なら…、
指切り≠ナもしようか?」
笑みは崩さぬまま、得意気にそう言った
青年は、小指を突き立てる。
「……いい。要らない。」
首を横に振る黒に、
青年は残念そうに笑う。
「何かアレだよね。
さっきの会話ってさぁ…
キミ達が恋人同士で
オレがその間に入った奴で、
彼女の取り合い…みたいな。」
緊張感のない青年の冗談話に、二人は
疑問符を頭に浮かべた。
そんな反応に青年は無表情になると、
「キミもお嬢さんと同じで
反応薄いね。…ツマンナイな」
大きく溜め息を吐いた青年は
気を取り直してと言わんばかりに
また不敵な笑みを張りつける。
「さあ、バトル開始だ。
────“黒兎”さん?」
Episode.43
【見えぬ幻影 現る幻覚】
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