D・W U
□Episode.47
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「アリスちゃ…っ」
突如 走り出した亜璃朱に 驚く皆。
中でも 夜自身が驚愕の表情を露にした。
「アリス…? 何で、その名を」
月夜(ツクヨ)。確かに亜璃朱は
夜をそう呼んだ。
その名は、夜の…
冬夜の捨てた 本当の名だ。
自身に向かってきた亜璃朱の両の肘を
掴み支え、夜は ただ目を見張って
顔を附せた亜璃朱を見つめていた。
「(その名を知っているのは、)」
母親と滅魔使のアイツ…
そして、あの人≠ニ
アリス≠セけの筈なのに…。
「やっぱり、月夜だ…!」
顔を上げて 人間界で会ってから
見たことのない、満面の笑みを浮かべた
亜璃朱に夜は 静かに確信した。
「アリス=cなのか?」
そんな問い掛けに、柔らかな笑みで
応えたアリス=B
「(────驚いた。
. .
また出てきたんだ…?)」
小さく心の内で呟くウィル。
「? ────あっ」
何かの気配がして 振り返る白は
息を少し荒げた眠っていた筈の黒の姿に
思わず声を漏らす。
「クロ、大丈夫?」
短く頷き、黒は夜と共に居る
アリス≠フ姿を真っ直ぐに見つめた。
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ごぽ…っ━━━━━
「っ────!!」
水で出来た球体に沈められた黒は
必死に空気のない水の中で、もがく。
「さぁ、キミはいつまで
足掻いて居られるのだろうね?」
足掻き続ける水の中では ウィルの顔も
笑みも、酷く歪んで映る。
「────っ!!!」
自分の背の陰に隠した 短剣を水の圧力に
負けぬよう、力一杯にウィルへ飛ばす。
「 !! 」
自身に向かってくる刃に目を見開く。
顔辺りに飛ぶ刃の姿を 最後まで見届けず
黒は肺から空気が抜け、意識を失う。
「 黒ーーーっ!! 」
黒が意識を失ったと共に、亜璃朱を
閉じ込めていた棺や 周りの景色まで
変わり、元の森に戻っていく。
「往生際の悪い兎だね…」
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