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□LIE STORY
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    ────サンタさんにね
    おっきいクマさんのぬいぐるみ
    たのんだのっ!

    サンタさん、きてくれるかなぁ





    ────いい子にしてたら
    きっと、来てくれるよ





    ────ほんと!?





    ────ええ。
    いい子にしてたらね?





    ────うん!いいこにしてるっ















幸せそうに雪が降る道を
しっかりと手を繋いで歩く
親子三人の明るい会話────。























そう…、今夜は子供たちが
何より楽しみにしている





    クリスマス…─────。


































  〜LIE STORY〜







































   ガシャーーン!!


















クリスマスパーティ開始目前
何かが割れたそれが、広めの一室にて
壮大な音を出した。






















    「うわぁ…、何してるの?君」





    「いや…ははっ…。
     皿、落としちまってさ」





その音を出した張本人、ジンが
足元で無惨にも真っ二つに割れてしまった
皿を拾い上げながら、苦笑混じりに
呆れた様子で、でも どこか楽しげで
ジンに声を掛けてきた葵こと、白に
有り様をそのまま述べる。








   「何枚 皿落とせば
        気が済むんだよ〜」





大きな音に釣られ、颯が白とジンの元へ
クッキーを頬張り
笑いながらやって来た。


颯の茶化すような言葉に、ジンは
眉を僅かに動かすと







    「うっさいなァ
     そーいうアンタも
     皿数枚、落としたじゃん?」





たっぷりと皮肉を籠めて言葉を投げ返す。
それに分かりやすく反応した颯は
「オマエ程じゃ、ないと思うけどな!」
とジンに突っかかる。





    「まぁまぁ、二人とも♪

     どっちも沢山割ってるのに
     変わりないでしょっ」




見栄張るとこじゃないよねー



と、にっこりと顔半分に影を落として
笑う白に、二人の口論は
一瞬にして途絶えた。







    「────何だ、今の音は。」






その様子を窺いに来た声を聞いた途端
ジンは「ゲッ」と小さく声を漏らす。
だが、颯や白は頭上に疑問符を
浮かべるだけで、
これといった反応はない。





    「いやいや!
     何でもないデスヨ、ハルさん」






見るからに怪しい素振りで、バッと
割れた皿の破片を隠すジンを見て
怪訝そうに眉を潜めた晴樹。


何だ? と引き吊った笑みと
冷や汗を流すジンと、それとは反対に
眉間に皺を寄せて ジンを見据える晴樹を
颯は不思議そうな表情で二人を交互に見た。







             ..
   「そうか…。もし、また
    皿を割っていたとしたなら
    流石に堪忍袋が切れる所だった」





真顔で告げた晴樹の一言を聞いて、
ジンの思考と体はピキッと凍る。

だが幸い、その様子に気がついていない
晴樹は 手に持っていたクッキーを
口に運ぶ颯を見ると…






    「……通りで、パーティに出す
     お菓子が減っている訳だな。」





半ば棒読みで、
晴樹は額に青筋を浮かべた。







    「へ?…あ。
     いや、これは…その、」





事の事態に気づいた颯は、
恐ろしく威圧感のある晴樹にたじろぐ。






    「白、おまえも食ってただろ
     おまえも何とか言え…って、」





自分だけでは反論出来ないと悟り
隣に居る白に、助けを求めようと
小さく呟くが 目配せをした途端
その隣に居たであろう主が消えている事に
今更ながら気づく。


目の前には、青筋を浮かべた鬼。
斜め前には、固まって微動だに
動こうとしない役立たずな皿割り男。


颯は目元に、うっすらと涙を溜めて
静かに佇む晴樹にこう言った…。
















    「す、スイマセンデシタ…」











































     ━━━━タタタタッ





     「ふふっ、おいひぃ♪」








白は、笑みを浮かべて 口一杯に
棒つきキャンディーを舐める。

仲間である颯が、憐れな状況に
陥っているのを知らずに。









    「クロに持って帰ろっと♪」







喜んでくれるかなー?


白は手に持っている数個のお菓子を眺め
嬉しそうに微笑む。










      「(……眼鏡?)」






そして、数メートル先で
床に落ちていた眼鏡を見つけると、
不思議そうに白はそれを拾い上げた。









    「うーん…?誰のだったかなー」








見覚えのある形に、白は思い出そうと
眼鏡を見つめながら唸る。








   「───白兎。眼鏡(それ)、返せ」






興味本意でその眼鏡を掛けたところで
一つの声が、白へと向けられる。







    「あー…、そうそう。君のだね」





ふふ、と 可愛らしく笑みを浮かべた
白の視線の先は、
相変わらずの仏頂面で佇む
真輝斗へと向けられていた。







   「この眼鏡だて≠チて
    いう物なんでしょー?

    視力いいのに、どうして
    眼鏡掛けてるの?」






身長差のため、半ば上目使いで白は
得意気に笑うと、掛けていた
眼鏡の端を両手で上げる。










    「───お前には関係ねぇ。」





瞬時に、眼鏡を取り上げられ
白は「あ」と呆気に取られながらも
直ぐに真輝斗へ飛び掛かろうとしていた









    ━━━━━ぺちんっ





     「ぷ…っ────」






が、その直前、真輝斗に額を片手で
抑えられたため、それは失敗に終わる。

必死に白は、腕を目一杯 伸ばすが
あと少しだと言うのに届かない。







     「……諦めろよ。」





そうしている間、真輝斗はもう一方の
片手で眼鏡を掛け直す。



腕を伸ばすのを止めても、諦めず
真輝斗に抑えられている頭を
突きだし続ける。




端から見たら、異様な光景だろう。






それを代弁する者が一人。












     「…何やってんだァ?」





突然現れ、嘲笑うかの如く
声を零したのは…狡牙だ。









   「眼鏡の奪い合いだよ、おじさん」








狡牙の登場もあり、やっと諦めたのか
白は前に突き出していた体勢を
元に戻した。








    「あん?おじさん≠セ?!」






たった一言に、反応した狡牙は
白の頭に掴みかかる。

だが、前触れもなくその動作は止まった。







    「んん゙? お前、女か?」





狡牙は、男らしくない…むしろ可愛らしく
女の子の様な白の容姿を見て
不思議に思い、動きが止まったのだ。







   「ふふ、そう見えるー?



    でも残念♪ 僕、男だよ?」






愛嬌のある笑みをした白を、狡牙は
欠伸をして適当に相槌をうつ。






    「しっかし…、男ばっかで
     むさ苦しいったらねえな」






辺りを見回して狡牙は、気分悪そうに
吐き捨てた。白は首を傾げて、狡牙と
同じく部屋中の様子を眺めるばかりだ。


真輝斗は、白と狡牙の会話から
興味ないと言いたげに、ソファで寛ぐ。


「準備は、どうした」
と晴樹が来るのも時間の問題だろう。











    「あ〜、我慢ならねえ。
     煙草でも吸ってくっかな」






踵を返し、出口に繋がる扉に向けて
歩き出す狡牙の言葉を耳にした真輝斗は











     「…チッ─────」








分かりやすく顔を歪めさせ、
舌打ちを漏らしたのであった。

(※真輝斗は煙草と狡牙
 毛嫌いしてます★ by.管理人←)




















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