Gift

□必然がよんだ再会
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     「じゃ、宜しくなー!莉央」





     「おー。任せといて」






自分の元へ浮いてきたチラシの束を
受け取り、教室を出ようとする莉央を
後ろから呼び止める弥生。





     「これもあるんだって!

      わたしも手伝うよ。」






忙しなく、生徒たちが教室や外を
行き交う中で、莉央と弥生は店番を代わり
今度は、宣伝へと教室を出ていく。





























     「此処がエデン高校=H」





     「結構な名門校らしいね」





     『広いし、大きいねぇ』








人が行き交う校門を潜り、男女三人は
聳え立つ大きく広い校庭と校舎を眺めた。








       どんっ━━━━━





     「っ、すみませ……!?」






不意に右肩が、誰かと当たってしまい
謝罪を紡ごうとするが 視界に入った
相手に絶句してしまう。






      「(ウサギ…!?)」






相手はウサギの着ぐるみを着ていたのだ。
何を言うでもなく、ウサギは少年を見つめ
頭を下げると 立ち去っていく。







     「何してるの、秀ちゃん」




     『文化祭の衣装なのかなぁ』








無言でウサギの後ろ姿を見ていた秀臣に
時計少女、時世が呆れ半分に笑う。

その隣では、楽しげにウサギの事を話す
ぺら男くんこと羽椎が。






    「妙に馴染んでて、焦ったよ…」





    『秀ちゃんの怖がりぃ』






溜め息をつく秀臣を茶化してくる羽椎に
怖がってはないと反論する。






    「早く行こうよ。
     3分も経っちゃったじゃない」






その間にも、マイペースに歩き出す時世。



入口だけでも変わった者が居るのが
判っていたが、進んでいく内に多いことが
見て取れた。








    「(この学校も、俺らのとこと
      似て、変人が多いな)」








時世や羽椎が屋台を回って、食べ物を
買う中、呆然と辺りを見回しながら
一人 胸中で呟く秀臣。







     『透くんたち居るかなぁ?』







たこ焼きを頬張り、先程の秀臣と同じ様に
辺りをきょろきょろと見渡す羽椎。


その顔を隠す紙をした姿は、ここの
生徒の様に馴染んでいて、秀臣は
苦笑を零す。






     「弥生ちゃんに
      会えると良いけどねー」






三人には、来ていることを告げていない為
姿を見たら驚くだろうと、面白がる様に
この文化祭に来たのだ。


まあ、その前に 連絡の交換は
一切していないため
会うのは、いつぞやかのラーメン屋以来。

それも、会えたら…の話だが。
















     「あれ?秀臣くん…たち?」



















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