Gift

□悪戯確信犯
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 これは光≠見つける少し前の
 ある魔族たちの愉快な話─────































     『さぁ、犯人はだれ?』















5つの声が重なり、視線も絡まる中
一つの悪戯な笑みが影に浮かんだ。






































     「ヒマだねぇ、クロ」








実に退屈そうな声が庭で響くと
それは空気に掻き消される。


傍らで聞いていた黒は、こくりと小さく
頷き、欠伸を漏らす白へ応えた。








    「何だか、お腹まで
     減ってきちゃったなぁ…」








そう言いながら、自身の腹部を擦る白の
視線は、雲一つない空へ向くばかり。






     「…マリアがケーキ作ってた。
      もう出来てる頃。」






見兼ねて口を開いた黒の言葉を理解して
空から瞬時に視線を外す白。








    「ほんとっ?なら、食べに戻ろ♪


     ほら、クロ!早くしないと
     颯に食べられちゃうよー」








急かす無邪気な笑顔とは対に、
相変わらずの無表情のまま頷き返すと
差し出された手を掴んで、今まで腰を
下ろしていた長椅子を立つ。








     「早く食べたいなー♪



      ────ぅわっ…!!?」








心底嬉しそうな様子は動きや表情により
容易く窺え、黒も背後で頷いていた。



次の瞬間、ぐんっと引っ張られる様に
下へ落ちた二人。

一瞬の出来事で、黒は目を見開いたまま。








    「いたた…。クロ、大丈夫?」








乾いた土の匂いがする中、軽く身動ぎして
白は一緒に落ちた黒の安否を訊ねる。







       「……………。」







当の本人は、反応を返さぬまま
身動き一つせず、ただ呆然と目を
見開き続けていた。

余程、驚いたのだろうか。
白は取敢えず二人共無事だ、と安堵し
少し高い所にあった地面へ手を伸ばす。





んしょ、と漏らしながら、白は
這い上がると一人地面の下へ残った黒を
救い上げる為、呼び掛け手を差し出した。








    「落とし穴かぁ…。

     いきなりで驚いたね?」








先程まで自分達の居た場所を見つめ
微笑を零しながら 我に返った黒を
首を傾け、覗き見る。








       「……………。」








じーっと落とし穴を眺め、黒は一人
こてん、と小首を傾げるのだった。






























     「マぁリアっ!
      ケーキちょーだい♪」








愛らしくも二人は両手を差し伸ばして
笑顔を向けると、振り向いたマリアは
唖然と目を見開く。








    「貴方たち、どうしたの?

     土まみれじゃない…!」








土まみれと言っても服の裾や、頬に
所々付いているだけなのだが 咄嗟に
浮かんだのがその一言だったのだから
仕方がない。








     「少し顔を拭きなさい?

      ケーキはそれから!」








「ああ、それから葵。悪いけれど
 颯を起こして来てくれるかしら?
早くしないとケーキ無くなるわよ≠チて」



伝言を白に頼めば、はーいと笑顔で
顔を拭うと 少し離れたソファへと向かう。








    「さっ、ケーキケーキ♪」








軽い足取りで戻ってきた白に
マリアは疑問符を浮かべ、もう一つ
在る筈の影を探す。








    「あら?葵、颯はどうしたの?」






    「んー、起こしたよ?

     けど起きないから
     そのまま置いてきちゃった♪」








マリア達からは陰になっていて
颯の姿は見えないが、白がそう言うのなら
そうか、と一人納得してマリアは
微笑んでお礼を言う。
















      ダダダダダダダダッ













食べ始めて少しした頃、そんな
地鳴りの如くな音に皆はその場を見た。


















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