Gift
□再会がよんだ…
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呆気に取られた莉央は、男三人(一人は意識不明(笑))を前に威勢よく言い放つ幼なじみを見た。
「あ゙ん!?そっちのでけぇのがぶつかってきたんだ!怒るのは当然だろうがっ!!」
「透にわざとぶつかってきたのは、そっちじゃない!」
怒りで涙目になりながら、訴える弥生の後ろを追うように店から三人の影が出てくるのを、莉央と秀臣は傍観者の眼差しで眺めていた。
「弥生、落ち着いて。俺は大丈夫だから…」
「やだ!透は悪くないもん!」
事の発端でもある透本人が現れ、弥生を制止するが、駄々を捏ねる様に暴れる彼女を最終的に抑えれば、はなして〜!とじたばたともがく弥生。
「まあ、確かに…ぶつかってきたも何も、元々はそっちがわざとケンカを吹っ掛けてきたんだから、当然そっちが謝るべきよねー」
『そうそう!実際、この目で見たしね!』
「その目すら見当たらないけどねぇ、うっちゃんは。」
その口論に淡々と飛び入りする時世がわざと≠ニ当然≠強調して話す様は、相手を脅しているかにも見えなくもない。
そしてそれに便乗して話す羽椎に、薄い笑みを携えたまま指摘する。
「時世に羽椎…、お前達まで何してるんだ…」
その普段から見馴れた面子に、秀臣が呆れ声を漏らせば、それに気づいた二人が陽気に手を振った。
「とりあえず、状況は呑み込めたよ。あの人たちが一方的に悪いってことでオーケー?」
『「「 YES 」」』
莉央がにっこりと笑って尋ねれば、不貞腐れた弥生のと、楽し気に返る時世と羽椎の声。
当然すかさず入った男二人の声は、聞かれることなく捨てられた。
「───にしても、俺たち食べ物屋でよく会うねー」
「殆どが、うちの二人が招いてるも同然だけどな。」
「あー、そんな事言っちゃって良いの?秀ちゃん?」
『秀ちゃん終了のお知らせ(笑)』
「止めてくれないか羽椎…。キャラも違うぞ」
「ははっ翌々考えてみれば、こっちも弥生の空腹が切っ掛けだよなぁ」
「な…っ、仕方ないじゃない!空腹のままで居たら死んじゃうっ」
「弥生…、空腹じゃ死なない。」
ちょっとした騒動(?)は無理矢理に一件落着し、談笑する一行は夕陽を浴びながら、商店街を進む。
「あ。ねぇ、時世さ「憂純。」…え?」
ふと弥生が隣を歩く時世へ呼び掛けるが、それは時世本人の声により遮られた。
聞き慣れないそれに首を傾げた弥生に、時世はもう一度口を開く。
「憂純≠ナ良いわ。弥生ちゃん」
「憂純…ちゃん?」
時世の言葉の意味に気づいた弥生は、照れた表情を浮かべると小さく呼ぶ。応えるように時世は薄く微笑む。
和やかな空気も束の間、莉央がその場に口を挟む。
「へえー、時世さん憂純≠チて名前なんだ?」
「君はその名前で呼ばないでね。」
「えー、なんでさー」
にこりと返した時世に小さく反発する莉央だが、その表情は面白そうに笑っていて。
「何だかお腹空いてきちゃった…」
「まだ時間経ってないんですが?」
「あめ玉持ってるから、しばらくは我慢。」
不意に零した弥生を、呆れ半分に言う莉央と、慣れた様子で鞄からあめ玉を取り出し、弥生に渡す透の三人を見て時世が尋ねた。
「君達って幼馴染みなんだっけ」
特に意味なく訊けば、三人は同時に不思議そうな顔で振り返る。
「まぁね、一応。」
「そうだよー、一緒に居て結構長いよね!」
「うん」
無意識にお互いの顔を見合わせて話す三人を眺め、時世はふーん…と返す。
「仲が良いんだな。」
『だね だねぇ〜』
秀臣とその言葉に続く羽椎の声にそうかな、と首を傾ける三人。
「なぁに、秀ちゃん。もしかして羨ましいの?」
『羨ましいの〜?』
「どうして、そうなるんだ…」
「仲睦まじいのが羨ましいなんて…」
『秀ちゃんって寂しい人だねぇ』
「だから、羨ましいなんて一言も…」
嫌そうに眉間に皺を寄せる秀臣を、関係なくつつく時世と羽椎の二人。
三人の話し声は止まず、続く。
それを何より間近で見ていた莉央たち三人は、その光景から目を離さず話し合う。
「秀臣くん達の方が」
「よっぽど、」
「仲が良いと思うよなぁ」
弥生、透、莉央、と口々に繋ぎ合わせて話すと視線を合わせ、思わず笑う。
「仲の良さは人それぞれ、かな」
再会 がよんだ 絆
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もう何も言うまい(´-ω-`)フッ
夜鶴さんが一年前の今日、初コメント投稿してくれた記念日ということで、勝手に書いて、勝手に押しつけます(笑)
夜鶴さん、いつもイラスト投稿に小説感想…感謝してもしきれません。本当に有難うございます。
これからも、どうか末永く
宜しくお願い致します(^q^)←
完成*2012.10.18
公開*2012.11.03