Gift
□偶然がよんだ必然
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「はー、お腹減ったねぇ」
「さっき、パフェ食べたろ」
街を歩く中、お腹を擦って呻く少女と
それに呆れ声を漏らす少年と、その二人の
後を無言で歩く、背丈の高い少年。
「さっきって、10分前だもん」
「三杯も食べといて
まだ満足できない訳?
本当、理解不能な胃袋。」
頬を膨らませた少女、中津弥生は
すたすたと歩みを進める幼なじみの少年
日向莉央を軽く睨む。
「!────弥生、」
何をするでもなく、後ろを歩いていた
背の高い少年、橘透は不意に視界に
入ったものを見つめたまま、弥生を呼ぶ。
「? どうしたの、透」
突如、足を止めたもう一人の幼なじみに
弥生は 同じ様に、透の視線の先を追う。
「あれなら、どう?」
あ、と声を漏らした途端、少し前を歩く
莉央の腕を、掴み止める弥生の瞳は
これ以上にない程、輝きに充ちていた。
「…俺、もう帰りたいな。」
そんな弥生の眼差しを、迷惑そうな瞳で
一瞥して、莉央は溜め息をつく。
【美味しいラーメン屋】
そんな看板が表に出ている店に、三人は
入っていった。
「もう勘弁してくれぇぇぇ!」
店に入った瞬間、耳に入ってきたのは
男の乞う様な嘆く声。
それに何事だと目を凝らせる三人の
視界に映るのは…─────
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