D・W
□Episode.03
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────連れて行かせない!!!
Episode.03
【十字架を持つ少女】
目の前に現れた亜璃朱のクラスメイト。
綺麗な黒髪を結い上げ、綺麗と可愛いを
合わせ持つ顔立ちをした
十字架をその手に持つ少女…
“松井瑞穂”が目の前に立っていた。
「 松井さん…? 」
あまり接点は無かったが、美人で無口と
有名だからと、クラスメイトのため
名前は知っていた。
────皆は眠っているのに
松井さんは大丈夫なの…?
亜璃朱は心の中で、訳が解らず困惑する。
「…はぁ…、危ないな…。
そんなモノ投げるなよ…」
眼帯をした人物…“夜”は、自分に
十字架を投げた瑞穂に
溜め息混じりに呟く。
「ははっ♪ 大丈夫ー?」
この危ない状況に、
似つかわしくない明るい声。
“夜”と共に来た蒼色の瞳をもつ少年だ。
「それって、全く
心配してないだろ?…白」
「してる、してる♪ 一応ね」
“白”と“夜”に呼ばれた少年は
ニコニコと笑う。
その少年の言葉に、「一応って…」と
心の中でだが、ツッコミをいれる亜璃朱。
「それにしてもー、
スゴいねぇ 君ッ!
起き上がれるなんてさぁ♪」
口元は笑っているが、フードの隙間から
見える“白”の蒼い眼が笑っていないのが
判り、亜璃朱は少しだが恐怖心を抱く。
ガカッ━━━━!!
「わーお。…危ないなぁ♪
いま話してる途中だよー?」
“白”が話してるのをお構い無しに
瑞穂は例の十字架を“白”に向け投げた。
……が、サッと“白”が避けたのを見て
微かに舌打ちをする。
先程から瑞穂の投げる十字架を軽々と
避ける“夜”や“白”を見ていた亜璃朱は
内心、すごいと呟いていた。
「亜璃朱さんから離れろ」
十字架を構える瑞穂。離れなければ殺すと
言う、物騒な意思表現な態度と目で
それは伝わってくる。その構えと共に、
瑞穂の耳についた物が光に反射して
キラッと光る。
それを見た“夜”は、目を細めて
「ふぅん…」と意味深に微笑を零す。
そんな中、亜璃朱は大きめの十字架を
懐から出す瑞穂を見て、何処にそんな
沢山の十字架を持ってるんだろうと
本気で考えていたのだった。
「…これはアリスが決めた事だ。
邪魔しないでくれるか?
…ふ、それにしても、まさか
こんな処に まさか
“滅魔使<エクソシスト>”様が
いらっしゃったなんてな…?」
“夜”は少し目を細めて、皮肉混じりに
瑞穂をじっと見る。
瑞穂はその言葉を聞いて目を見張った。
「 …っ!? 」
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