D・W

□Episode.12
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  Episode.12
  【溶けることのない氷の…】














真輝斗たち滅魔使<エクソシスト>の
目の前には、空から降ってきた
大きな氷の壁が立ちはだかっていた。



  ザザザザッ

 「っく……!!」


重い氷が落ちたことにより、砂埃が
立ち上るなか、その氷が降ってきた
場所から瑞穂は、片手を地につけ
滑るようにそこから離れた。


瑞穂は落ちてきた氷を
ギリギリ避けていたため
大事にはならなかったのだ。



「!…無事だったか」


「!真輝斗…!!
 ありがと、あんたのお陰で助かったわ」



瑞穂の無事に小さく安堵の息をはく
真輝斗たち。
それらに瑞穂は気づくと
無事だよとニコッと笑い、礼を言った。

そんな瑞穂に真輝斗は
小さく返事を返し、皆はまた目の前に在る
大きな氷の壁を見つめた。


真輝斗はそれを見据えながら
自身の手に持つ刀をスラッと
鞘から静かに抜くと、


 キンッ!!!


一瞬にして刀に力を込めて降り下ろした。



「…効かねぇ…。」


真輝斗は何度も氷の壁を攻撃してみるが
全く傷もなく効いていない。




 「無駄だ。」



 『───!!?』



突然、自分達の上から小さくも辺りに
響き渡る声がして、反射的に瑞穂と真輝斗
そして他の者達は見上げた。



その声の主である、夜は
氷の壁の上で真輝斗たちを見下ろしていた。




「…お前は、さっきのフード野郎…?
 今まで何処に…」



真輝斗は高い氷の壁の上に立っている
夜を殺気を込め睨んだ。



「悪いな、もう帰らしてもらう。
 一応…挨拶しに来ただけだしな」



だが夜は、真輝斗の殺気に
臆すことなく見据えていた。



「…二度も逃がすと思う?」



夜の言葉に黙っていた瑞穂は
不敵に笑い、十字架を構える。
その姿を見た夜も不敵に笑う。



「逃げるんじゃない。
 家に帰るだけだ」


「同じよ……。
 あんた達は此所からは
 帰れない…いや、帰さない!!」


 ボォォ……キンッ!…ピシッ


そんな瑞穂に応えるように
傷一つ出来なかった氷にヒビが入った。

夜と瑞穂が睨み合ってるなか
真輝斗は諦めず、自身の武器の刀に
炎を纏わせ、氷の壁を
何度も攻撃していたのだ。
そして、その地道な攻撃のお陰で
氷にヒビが入った。




「…これは

“神に与えられた能”だぜ…?
 悪魔の能と対抗できる、な。

 例え溶かせなくても、“壊せる”」





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