D・W
□Episode.16
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Episode.16
【白黒ウサギの】
闇に堕ちた魔族の巣─────
━━━━━ブワッ
魔法陣の周りに、いつもの事ながら
突然、強い風が吹く。
そして止んだ頃にはその場には夜と
少し傷を負った黒がいた。
「あ…、おかえり!」
「ああ。ただいま」
「……ただいま。」
呆気に取られながらも口にした亜璃朱の
出迎えの声に、微笑して返す夜と黒。
「おっかえり〜」
颯はだらしなくもソファに寝転がったまま
帰ってきた夜と黒の声を聞いて、手を
ソファの陰から覗かせるように上げた。
「おかえりぃ♪
…クロ、お風呂場行こっか♪」
白は黒の所々にできた傷を見て
目を細めると、その手を引き、風呂場に
黒と共に部屋を後にした。
「黒、大丈夫かな…」
「……大丈夫だ」
見慣れない黒の姿に亜璃朱は心配そうに
眉尻を下げる。
夜は静かに心配ない、と小さく苦笑した。
「あら、帰ってきてたの?
────お帰りなさい」
「…ただいま、マリア」
部屋の出入り口の扉から、ひょこっと
顔を出したのは、今まで自室に居た
マリアだ。
マリアは掛けていた眼鏡を外す。
眼鏡は今まで自室で資料を読んでいた為。
彼女曰く眼鏡を掛けると
集中力が上がるのよねぇ≠轤オい。
「クロ、短剣を使ったの?
ダメだよ、短剣は滅魔使の
穢れた黒い血が付いちゃうから…」
「─────……。」
黒は説教口調で言う白に無言と共に
無視をしていた。
白と黒の二人は風呂場に向け
廊下を歩いている途中だ。
ふと白は黒の頬を見て持っていた
ハンカチで黒の頬についた
血を拭こうとする、が
「…あーあ。もう固まっちゃって
取れないよ?」
ふぅ…と息をつき、困った表情で
白は黒の頬を見つめる。
「……別にいい。」
洗ったらとれる、と素っ気なく呟き返す。
「良くないよ。あ、怪我。
…おいで、消毒しなきゃ」
フイッと顔を背ける黒に二度目の息を
つくが、風呂場に着くと黒の手を引いて
中に入ると、白は何やら棚などを探る。
「えーっと、確かここに…
あった あったぁ♪
お風呂、先に入ってーっ
僕は外で待ってるから」
暫く、うーんと唸り声を上げながら
棚を隅々まで探していたが、その探し物の
救急箱を見つけると黒に一言残し
白は廊下に出るため、立っていた黒の横を
通りすぎる。
「廊下、寒いから此処で待ってて」
背後からの黒の声に呼び止められた。
「んー…、そうだね♪
じゃあ ここで待ってる♪」
そして黒は、返り血と自分の血で汚れた
体を洗うため風呂へ入っていき、白は
黒に言われたためその場に残り、救急箱の
中を手当の道具が全て入っているかなど
確認をして待つ。
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