D・W
□Episode.19
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Episode.19
【滅魔使の始人】
「まずは『老師』…、あのご老人ですが」
あの方は、滅多に表には出てこない為、
昔から“此処”に居る人しか
彼を知る人はいません。
滅多に…とはいいますが
彼の姿を見たことがある人は
意外にも多いですね。
迷ったところを助けられることとか。
その晴樹の言葉に瑞穂は同意と頷き
他の者たちは、どこかやつれた顔色を
表していたが、敢えて触れないでおこう。
「彼は自分達、“滅魔使”の内で
重要な人物の一人です。」
淡々とまるで資料を読みながら
告げるように晴樹は次々と
詳細を答えていった。
その情報に頭がついていけず、訊いた
本人である青年ですら唖然と
呆けるばかりであった。
「年齢は不詳。本人が無意識に漏らした
言葉を信じるならば、100歳は
軽く越えているでしょうね」
『───え゙!!?』
あんなにも元気いっぱいで?
最後と紡いだ言葉に、静かに一緒に
聞いていた他の者も声を上げる。
ちなみに真輝斗、瑞穂は───
「真輝斗、お菓子持ってる?」
「…ん。」
二人して床に座り胡坐をかいていた。
瑞穂が問いかけた言葉に真輝斗は
ポケットの中を少し探りあさると
一つだけ ミントガムが入っていて
それを瑞穂に渡す。
「真輝斗もいる?」
「いらねー。」
つまり二人は、晴樹の話を
全く興味なしと聞いていなかった。
「そして、“御呼び”と言うのは
……どうかしたか?」
晴樹が話を変えると同時に
座りこんでいた瑞穂が立ち上がる。
それに晴樹が僅かに目を見開いて
問い出すと、他の者も真輝斗も瑞穂を
何だ?と見つめた。
「───何でもないよ
続けていいから…。」
瑞穂はそう言うと端にと歩き出して、
静かに壁にもたれ掛かるように
腰を下ろして、続きを待つ者たちの為に
気にしないでと話の続きを促した。
それに晴樹は 深くは追究せずに
そうか…?と話を戻すため口を開いた。
話には興味の無い真輝斗だけが、
少し表情を曇らした瑞穂の
様子に気づいていたが、すぐに瑞穂から
視線を外した。
「───“御呼び”は、
そのままの意味です。
簡単に言えば、自分達からした
“偉い方”…、高い地位につく方が
我々を呼ぶときに下す
謂わば“命令”…でしょうか」
晴樹は薄く笑みを浮かべる。
「その御呼びは誰が…?」
青年は段々と理解し、真剣に
話を聞き、思ったがままに尋ねた。
「───…今回は、恐らく…
ガイア様ですね。」
『───!!!』
その名を聞いた数人の者たちの
身体は凍ったように硬直する。
その者たち程にはいかないが
真輝斗も僅かに目を見張っていた。
「“ガイア様”って…?」
「おま…っ、そんな事も
知らないのかっ!!?」
何も知らない青年に言い寄ってく者たちを
晴樹は静かに制止していた。
「『ガイア』とは、自分達
滅魔使の始まりと言われてるんですよ」
「───滅魔使の、始まり…?」
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