D・W

□Episode.19
1ページ/4ページ










   Episode.19
   【滅魔使の始人】
















「まずは『老師』…、あのご老人ですが」




 あの方は、滅多に表には出てこない為、
 昔から“此処”に居る人しか
 彼を知る人はいません。

 滅多に…とはいいますが
 彼の姿を見たことがある人は
 意外にも多いですね。

 迷ったところを助けられることとか。





その晴樹の言葉に瑞穂は同意と頷き
他の者たちは、どこかやつれた顔色を
表していたが、敢えて触れないでおこう。





「彼は自分達、“滅魔使”の内で
 重要な人物の一人です。」



淡々とまるで資料を読みながら
告げるように晴樹は次々と
詳細を答えていった。

その情報に頭がついていけず、訊いた
本人である青年ですら唖然と
呆けるばかりであった。





「年齢は不詳。本人が無意識に漏らした
 言葉を信じるならば、100歳は
 軽く越えているでしょうね」




  『───え゙!!?』

 あんなにも元気いっぱいで?




最後と紡いだ言葉に、静かに一緒に
聞いていた他の者も声を上げる。




 ちなみに真輝斗、瑞穂は───



 「真輝斗、お菓子持ってる?」


  「…ん。」



二人して床に座り胡坐をかいていた。

瑞穂が問いかけた言葉に真輝斗は
ポケットの中を少し探りあさると
一つだけ ミントガムが入っていて
それを瑞穂に渡す。




  「真輝斗もいる?」



  「いらねー。」



つまり二人は、晴樹の話を
全く興味なしと聞いていなかった。




「そして、“御呼び”と言うのは
     ……どうかしたか?」



晴樹が話を変えると同時に
座りこんでいた瑞穂が立ち上がる。

それに晴樹が僅かに目を見開いて
問い出すと、他の者も真輝斗も瑞穂を
何だ?と見つめた。




「───何でもないよ

  続けていいから…。」



瑞穂はそう言うと端にと歩き出して、
静かに壁にもたれ掛かるように
腰を下ろして、続きを待つ者たちの為に
気にしないでと話の続きを促した。



それに晴樹は 深くは追究せずに
そうか…?と話を戻すため口を開いた。
話には興味の無い真輝斗だけが、
少し表情を曇らした瑞穂の
様子に気づいていたが、すぐに瑞穂から
視線を外した。





「───“御呼び”は、
 そのままの意味です。

 簡単に言えば、自分達からした
“偉い方”…、高い地位につく方が
 我々を呼ぶときに下す
 謂わば“命令”…でしょうか」


晴樹は薄く笑みを浮かべる。





 「その御呼びは誰が…?」



青年は段々と理解し、真剣に
話を聞き、思ったがままに尋ねた。




「───…今回は、恐らく…


       ガイア様ですね。」




   『───!!!』



その名を聞いた数人の者たちの
身体は凍ったように硬直する。

その者たち程にはいかないが
真輝斗も僅かに目を見張っていた。




 「“ガイア様”って…?」



「おま…っ、そんな事も
  知らないのかっ!!?」



何も知らない青年に言い寄ってく者たちを
晴樹は静かに制止していた。











「『ガイア』とは、自分達
 滅魔使の始まりと言われてるんですよ」










 「───滅魔使の、始まり…?」









_
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ