□君と未来へ
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※大学二年設定です









「真ちゃーん」

キッチンに立つエプロン姿の恋人にソファから呼び掛ければ、冷蔵庫の中身とにらめっこしていた顔が此方を向いた。

「何だ」

「お昼、何作ってくれんの?」

「何が食べたい」

「んー、オムライスとか?」

「わかった」

適当に定番そうな物をあげたら、真ちゃんは冷蔵庫の中に手を伸ばして食材を取り出し、冷蔵庫の扉を閉めた。しばらくすると、包丁と俎板のぶつかるトントンという一定のリズムが聞こえてくる。

「…あ、そうだ。真ちゃん知ってる?」

「何がだ?」

「今日、俺たちが付き合って四年目の記念日なんだよ」

「…………」

「……あれ?知らなかった?」

「…知らなかったら今日も授業を入れているのだよ。それぐらい察しろ、バカ」

そう言われたのにちょっと驚いて、横目でチラリと真ちゃんを見れば、下を向いてはいるが耳が赤いのがよく分かる。

(んもー、可愛いんだから……)

下を向いていた顔を上げて此方を見た真ちゃんは、表情筋の弛んだ俺を見て眉間に皺を寄せた。

「…何をにやにやしている。気持悪いのだよ」

「真ちゃんが可愛いのが悪いんですー」

「意味が分からないのだよ」

呆れた様な仕草をとると、真ちゃんはまた料理を再開した。
テレビもついてない、二人の会話も途絶えた静かな空間。けど、決して息苦しさなんてなくて、開けた窓からさやさやと流れる風が頬を撫でて心地良い。

あっというまに過ぎた高校三年間。あんなに色濃く、今も繊細に思い出せるのに、毎日は光の早さで過ぎていったような気がする。
大坪さん達が卒業してからも、バスケに勉強にと頑張った。本当は真ちゃんとは別の大学の予定だったんだけど、真ちゃんが

『お前の行きたい学部も、俺の行きたい学部もある大学を見つけた。俺は此処を目指すがお前はどうする?』

って言ってくれて。しにものぐるいで頑張った結果、学部は違えど、見事同じ大学に合格した。しかも同じ寮の同じ部屋っていうご褒美つき。おかげで毎日が充実している。

大坪さん達とは今でもちょくちょく顔を合わせている。大坪さんと宮地さんは相変わらずで、俺たちみたいにいつも二人で居るらしい。木村さんは実家のお手伝いに忙しいとか。

「そういや、真ちゃんこの前の飲み会来なかったよね?」

「実験が忙しくてな。皆は元気だったか?」

「相変わらずだなー。宮地さんが、緑間の我が儘三回ルールが懐かしいって笑ってた」

「そうか」

秀徳高校に三年間できた緑間ルール。あの時はひやひやしながら見守ったけど、今となってはいい思い出の一つって感じ。

「高尾。出来たから運んでくれ」

「はーい!うわっ、美味そうー」

「お前程美味くはないが…」

「ううん!そんなことない!すっげぇ美味そう!早く食べよう!!」

「あぁ」

二人向き合って食卓を囲む。もう何回もしたのに、いつも緊張とか嬉しさとかいろんな気持ちが込み上げてくるのは何故だろう。それと同時に、いつも



「――…ねぇ真ちゃん」



「?どうした」













真ちゃんを想う気持ちも
込み上げてくるのは
何故だろう―…













「結婚しよっか」



「は……?」


口に運ぼうとしていた手を止めて、真ちゃんは唖然としながらこっちを見た。確かにいつも冗談のノリではよく言うが、こんな風に面と向かって真顔で言ったのは初めてだった。

「あ…えと、式とか戸籍の話じゃなくて、さ、その…こっ、恋人じゃなくて、つまり…将来の伴侶として、側に居てほしいなぁって…思って………駄目?」

「…い、いい今はプロポーズをするタイミング、か………?」

はい。
おっしゃる通りです。

でも…

「なんかね、真ちゃんのご飯食べる時、いつも感じるんだ……"愛しい"って気持ち。きっと後にも先にも、こんな風に思えるのは真ちゃんだけだと思うし、そうだと信じたい。でも怖いんだ…大学卒業したらバラバラなんじゃないかって……歩く道が離れるんじゃないかって……」

いつか君の手がすり抜けて行きそうで……怖い。

なんだかしんみりした空気にハッとして真ちゃんを見れば、うつ向いていた。違うんだ…そんな風にさせたかったんじゃない。これからも二人で居たいねって伝えたかっただけなのに…

「真ちゃ「俺は、」

「俺は…大学卒業してからも、社会人になっても、もっと歳をとった後も…側に居るのは高尾がいい、と…思っている……」



「これでは返事にならないか…?」



バカみたいに固まった。真ちゃんの目が真っ直ぐに俺を見ている。あの、いつも全力でぶつかってくる曇りのない綺麗な澄んだ瞳。

俺の大好きな瞳。

「…真ちゃん」

「い、言っておくが!いたって真面目に言っているのだよ…!」

「うん!知ってる…!」



「有難う…真ちゃん」



なんだか泣きそうで、でも笑いたくて…くしゃって笑えば、真ちゃんも静かに笑ってくれた。












もっともっと先も
君と居たい

ずっと二人
離れずに―――…





-end-


勝手にまみくさん宅四周年を祝おうの会ー!!\(^o^)/

無駄に長いし、書いた本人も何言いたいのかいまいちわかんないですごめんなさい。
普通の生活の中で、さらっと婚約する二人が書きたかったはずなんですが…!!なんかしんみりした感じに…;;と言うか最後の静けさ具合が腹立つ←もちろん自分に

四周年ということで、真ちゃんたちも四周年にしちゃえと大きくでたら踏み外した感が満載です。申し訳ない……;

まみくさん!こんなのでも良かったら受け取ってやって下さい…;返品も苦情もいつでもお待ちしています…!!

では、今回は四周年おめでとうございました!!

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