ダーリンは芸能人

□Happy Birthday - 夏輝 -
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――― 6月5日


「うーん……どうしよう」

私は自分の部屋の前で、明日の洋服を選んでいた。

だって明日は……。夏輝さんの誕生日。

プレゼントも買ったし、行く場所も決めたし……。

あとは肝心な洋服。

(ミニを履くのも気合い入れすぎ?でも、夏輝さんの誕生日だし…やっぱりスカートがいいかなぁ)

鏡の前で洋服を当ててみて、色々考える。

私の彼氏となった夏輝さんは、あの人気バンドJADEのギタリスト。

未だに信じられないけれど、そんなに凄い人が自分の彼氏で……。

(しかも仕事が忙しくて、会うのは結構久しぶりなんだよね…)

お互いに仕事があるし、JADEは地方でのツアーもある。

(会うんだったら、やっぱり可愛いと言われたい)

「やっぱり、可愛めのワンピかな?色は……」

「お姉ちゃん……まだ悩んでるの?」

「えっ?」

ビックリして振り返ると、扉に凭れ掛かるようにして、まーくんが立っていた。

「ちょっと、まーくん!勝手に部屋を開けないの!」

「一応、ノックしたよ?でもおねーちゃん、返事ない代わりに、うんうん唸ってるんだもん」

まーくんが呆れたように溜息をつく。

(うっ……全然気づかなかった…)

どうやら真剣に選びすぎて、周りの音が全く聞こえてなかったらしい。

(こういうのを弟に見られるのって…結構恥ずかしい)

「それで?何か用なの……?」

まーくんに見られた恥ずかしさを誤魔化す様に、出した洋服を手早くしまっていく。

「おかーさんが読んでるよ、ご飯だよって」

「うん、わかった…。すぐに行くから先に行ってて?」

「はーい。あっ…!」

扉を出かけたまーくんが、それと…と付け加える。

「色はそっちの水色がいいよ。おねーちゃんの肌の色と合うし。夏輝によろしくね!」

デートだということも、しっかりバレていたらしい。

私は顔を赤くして、頷いた。

(でも、まーくんも応援してくれてるし……頑張ろう)

机の上に用意したプレゼントと、冬馬さんからの預かり物をチラリと見て、私は改めて気合をいれるのだった。



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