ダーリンは芸能人

□ジューンブライド with 春
1ページ/10ページ


今日は新曲のPV撮影の日。

今回の衣装は、淡い色のプリンセスドレス。

なぜドレスかというと……。

新曲は6月に合わせて、ウェディングソングになっていて、ピアノとヴァイオリンが重なる甘いバラードになっている。

プロデュースはもちろん……。

「おはようございます。神堂さん」

「……おはよう、かなで」

人気バンドJADEのボーカルにして、私のプロデューサー兼……恋人の神堂春。

「今日はよろしくお願いします」

春に会えた嬉しさと、今日一日、一緒にいられる喜びを感じて自然と笑顔になる。

「あぁ……よろしく」

そんな私を見て、春はクスリと笑った後、

「そのドレス…よく似合っている」

顔を寄せて、私にだけ聞こえるように言った。

(はっ、春……みんなにバレちゃうよ……)

春の甘い声と、周りのスタッフに気づかれていないかのドキドキで、私の鼓動は自然と早まった。

「……ありがとうございます……」

赤面して照れる私の頭を、ポンポンとする春。

(春は……余裕だな……)

春の一言や何気ない行動で、舞い上がってしまう私。

でも、春はいつものように微笑んでいるだけで……。

(よく、先に好きになった方が負けだっていうけど……)

「……勝てないな……」

「……え?」

(あっ、声に出てた…)

「な、なんでもないです」

慌てて首を振ると、春は少し納得のいっていない顔をした。

「あっ、あの……本当になんでもないんです……」

(こんな場所で、いかに春の事を好きか言うなんて……)

私が誤魔化すような笑顔をすると、

「スタンバイ、お願いしまーす!」

と、いいタイミングでスタッフさんの声がかかった。

「ほら、神堂さん!行きましょ?」

話が中断された事に少しホッとして、春をリハに向かうように促す。

「………じゃあ、また後で」

なおも考えるようにしていた春だったが、慌ただしくなっていくスタッフにつられるようにして、リハへと向かっていった。



次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ