ダーリンは芸能人
□メリクリ…その後?
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(あ…さ……?)
カーテンの隙間から漏れる光に、重い瞼をゆっくり開けると、目の前には愛しい春の寝顔があった。
静まりかえった部屋の中は、冬特有の肌を刺す寒さと、乾いた空気が支配している。
(さ、寒い〜)
昨日、春とシタまま寝た私の姿は、一糸まとわぬ生まれたままの姿。
布団の中は春と自分の体温で凄く温かいが、ベッドから下りると多分、震えるような寒さが待っているだろう。
そろそろ起きなきゃと思う気持ちとは裏腹に、まだ春とこうしていたいと思う気持ちが、どうしても勝ってしまう。
(でも、喉乾いたな…)
喉がガサガサしている。乾燥している空気のせいもあるが、それだけじゃなくて……。
理由は昨夜散々、ベッドの上で喘いでしまったから。体調の戻った春に攻められ、弄られ、声をあげさせられて…。
その時のことを思い出し、一人狼狽えてしまう。
(考えない、考えない!)
昨夜の熱い記憶が思考を支配しそうになり、それらを追い払うように頭を振ると、ケホっとむせてしまった。
(やっぱり喉乾いた……)
そろそろ喉を潤さないと、歌手としても良くないし、何より春に心配をかけてしまいそうだから…。
(そういえば、いつも春が……)
寝起きに飲めるように、いつもサイドボードにミネラルウォーターを置いてくれている。横を見ると、案の定あって…。
でも寒さに起き上がるのが億劫な私は、ベッドの中からサイドボードに手を伸ばして水を掴もうとしたが、
「あっ!!」
何かに手が触れ、ゴトッという音と共に、何かが床に落下した。
「ん……」
(あ…春が起きちゃう)
横着するんじゃなかったと後悔しつつ、ベッドからそっと下りて、床へ落ちた物を拾おうとしたが……。
(何コレ……?)
目に飛び込んできた“見た事のない物体”に戸惑い、手を引っ込めてしまった。