「ちょっと、やり過ぎたかな?」
現在、深夜0時を少しまわった頃。
隣で眠る彼女の顔を見ながら、独り言をつぶやく。
彼女をうまく誘導して、ビンゴ大会の景品を存分に楽しむという、我ながらアッパレな流れだったと思うけど……。
少し疲労の見える寝顔に、無理をさせ過ぎたな…と少し反省してしまった。
(でもあの展開じゃあ、仕方ないよね)
本当は彼女が嫌がれば、無理強いはしないと考えていたけれど、あそこまでやってくれるなんて……。
(口でしてくれた時は、マジでヤバかったな)
拙いながらも、懸命に愛撫してくれる姿に、だんだんと興奮してきて…気付けばイキそうになってた。
(この可愛い口でしてくれたんだよね…)
艶やかな彼女の唇に手を伸ばして、そっと触れると――
「ぅん……京介く、ん……」
その可愛い唇から、自分の名前が告げられた。
「なに?」
問いかけてみたが、反応がない。どうやら寝言だったようだ。
(寝言で俺の名前を呼ぶなんて……どんな夢を見てるんだか)
自然と口元に笑みが浮かぶ。Waveではない“本来の中西京介”としての笑み。
「まったく……」
俺がこんな風になる日が来るなんて……。
「可愛い過ぎるのがいけないんだからね」
聞いているはずのない彼女へと呟く。
「さて、俺も寝るかな……っと、その前に…」
サイドボードへと手を伸ばし、『例の景品』のうちのいくつかを取り出しておいた。
(俺のいないうちに、きっと捨てちゃうだろうから)
彼女の行動を予測して、先手を打っておかないと。だって……
(まだまだ楽しませてもらうからね)
俺がいくつか残しておいたのを知ったら、彼女はどんな反応をするだろう。
「……おやすみ」
口元に笑みを湛えたまま静かに眠る、彼女の頬へと口付けた。